〜 BOOK BOOK こんにちは 〜
みなさんは、本は好きですか?
このリストは、通勤電車の中で読んでいる本の紹介です。そのためジャンルに脈絡なし!
感想や★の数は、独断と偏見で決定していますので、参考程度にして下さい。(^o^;;
特に、市立図書館で借りて読む本が多いので古いのもあります・・・(貧乏なので)
図書館は、リクエストをすると希望の本を入れてくれるのです。どんどん活用しましょう!
#私は、この手を利用して桐野夏生さんの本や「「買ってはいけない」は買ってはいけない」などを買わずに読みました。
昨年に読んだ本の感想をこちらのページに掲載しています。
★★★の本は27冊しかありませんでした・・・
1999年に読んだ95冊の本の感想
1昨年に読んだ本の感想をこちらのページに掲載しています。
★★★の本は13冊しかありませんでした・・・
1998年に読んだ50冊の本の感想
その前の年に読んだ本の感想をこちらのページに掲載しています。
★★★の本は16冊でした。
1997年に読んだ75冊の本の感想
<参考>
ベストセラーも要チェックです!
トーハン「本の探検隊」ベストセラー情報
1997年6月までに発行され現在日本で入手可能な約53万冊の書籍を検索し必要な情報を引き出すページです。
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Copyright(C) Kiyohiko Shinomiya.
<リストの説明>
本のタイトル 評価(おもしろ度は、★★★ で満点!)
著者/出版社 初版発行日 定価/ISBN番号
感想
ジョーエレン・ディミトリアス著、冨田香里訳/ソニー・マガジンズ/\1600/2000.3.18/ISBN4-7897-1535-3
「こっそり他人の正体を読む法則」というサブタイトルの本です。原
題が「reading people」なので、こちらの方が内容をよく表していると
思います。裁判の陪審員を選ぶための陪審コンサルタントの仕事を通し
て培った人を見る目により、人間観察による法則をまとめています。リ
ビングに子供のおもちゃがたくさん出ている家は子供に優しい家である
とか、具体的な例をあげているのでわかりやすいです。ただし、例外も
多いので実際に目で確認しないと細かいニュアンスが伝わってこないで
しょう。法則を知っても実践するには、かなりの経験と時間がかかりそ
うです。陪審コンサルタントの仕事について、もう少し詳しく書いて欲
しいと思いました。
末続たかし著/北辰堂/\2500/1996.2.25/ISBN4-89287-201-6
シロウト収集家の立場からのアドバイス的なエッセーです。1単元が
1ページなのでとても読みやすいです。コレクションの写真も毎ページ
に掲載されていてカタログ的な要素もあります。ただし、そのページの
テーマと関係のない写真の場合もあります。特に日本の陶磁器が多いで
すが、解説を読んでいるだけでも楽しめます。年をとってくると、これ
らのものに興味が出てくるのだろうか?
2〜3万の骨董では大したものが手に入らないことがよくわかります。
野中ともそ著/東京書籍/\1700/1995.10.30/ISBN4-487-79228-2
ニューヨークでのアンティークショップやのみの市めぐりの話を中心に
いろいろな友達を紹介しています。イラスト(水彩画)も本人が書いて
います。淡いタッチでホノボノ感がよくでています。ティファニーのホ
ールマークなどは参考になりました。アンティークのガイド本ではなく
て、アンティークを楽しむためのエッセーのような本です。
宮部みゆき著/新潮社/\1359/1989.12.10/ISBN4-10-375001-4
第2回日本推理サスペンス大賞の受賞作です。サスペンス的な度合
いは、それほどでもないですが、主人公の少年がいきいきと描写され
ています。トリック的には、いまいちですが、全体の流れとしては
おもしろく、一気に読むことができました。
室井滋著/文芸春秋/\1143/1998.6.30/ISBN4-16-354150-0
室井さんのエッセーです。紙質が悪いせいか、2年しかたっていない
のに、わら半紙のように黄ばんでしまっているのが残念です。
エッセー自体は、バカ話ありのちょっと考えさせられる話ありのバラ
エティーに飛んでいて軽くよむことができます。TVで見るお笑い系
のキャラターよりもまじめな性格であることがわかりました。
アラン・ピース、バーバラ・ピース著、藤井留美訳/主婦の友社/\1600/2000.4.25/ISBN4-07-226514-4
男と女の違いを右脳、左脳の働きの違いから考察している本です。
”男脳と女脳が「謎」を解く”がサブタイトルです。男は空間能力
が優れているので縦列駐車が得意であるとか、男は家に帰ってきた
ら、1人静かにしているのを好むとかいう習性は、古代からの役割
分担のなごりで発達している脳の機能が違うからであるというのが
よくわかります。それを理由に逃げてはいけないですが、根本的に
男女の行動や思考パターンは異なるものであるということを知って
いないとトラブルになると思います。性行動に関する男女差やホモ
になるのは、ホルモンのせいであるという点は興味深いです。
太陽編集部編/平凡社/\1524/1997.6.18/ISBN4-582-63324-2
家具、雑貨&キャラクター、食器&ガラス、専門店、オールマイティ
などのジャンルにわけてお店を写真入りで紹介しています。特にアン
ティーク街の紹介や豆知識として、そのジャンルのプロ(お店の人)
にインタビューしている記事はためになります。お店紹介本としても
役にたちそうです。
長部玉美著/主婦の友社/\1600/H9.1.1/ISBN4-07-219810-2
イギリスのアンティークをジュエリー、ドール、テディベア、手芸、
陶磁器、キッチン雑貨、銀とガラス、インテリアなどのジャンルご
とに2〜3ページで写真入りで紹介しています。一部には、値段も
載せているので目安にもなります。解説を読むよりも写真をみるこ
との方が楽しいです。あまり高価なものばかりではないのがよいで
す。巻末のロンドンMAPや1750〜1950年の年表は役に立ちそうです。
上野朝子著/文化出版局/\1800/1998.4.19/ISBN4-579-20617-7
茅ヶ崎の「サザン・アクセンツ」のショップのオーナーです。雑貨
類が多くてカントリーファンには楽しい本です。上野さんの写真集
的な感じでもあります。値段の表示がないのが残念ではあります。
巻末のニューヨークガイドMAPは使えそうです。
成美堂出版編著/成美堂出版/\1200/1998.1.10/ISBN4-415-08626-8
陶磁器、ガラス、銀器、染付、色絵、漆器、和ガラス、照明、インテリア
小物にわかれて写真入りでわかりやすく解説しています。用語の解説から簡
単な特徴から楽しみ方まで解説してあり、ビギナーには最適な本です。和物
にはあまり興味がないので、洋物だけを特集した本ならもっと良かったと思
います。最近、流行りのカントリー雑貨にもふれている点がよかったです。
巻末の国内&海外の骨董市・蚤の市ガイドやショップリストが役に立ちそう
です。
島村麻里著/ダイアモンド社/\1400/1999.3.18/ISBN4-478-94170-X
著者の旅行関係のエッセーの第2弾です。旅行記ではなくて、アチコチで
体験したことを元にかかれたノウハウ?および考察?本です。ホストとして
外人の友達を自宅に泊めてあげるときの鉄則などおもしろいです。ツアー派
と独立派の言い分やタイプの違う友達同士で旅行したときの意見の不一致現
象とか、女一人旅のノウハウなどはためになるかもしれません。安いエララ
インで足止めをくって苦労した話やインドでの話など旅の話題も多少入って
いますが、ノウハウ的な話が多いのが残念でした。もっと強烈な旅行体験を
読みたいのです!
小野稔著/新潮社/\1300/1989.6.25/ISBN4-10-373901-0
新聞記者だった著者が人生のいろいろな場面で譲り受けたり購入した懐中
時計についてのいきさつを14話、綴った本です。戦後の混乱期ということ
もあり、どの話もドラマチックですごいものです。懐中時計もバセロンやベ
ンソンの金側のハンターケースばかりで、すごいです。ミニッツリピータも
何点か登場します。巻頭のカラー写真を見ているだけでも楽しめます。
シーメンス事件にかかわったものやパーシバル将軍からの贈り物であったり、
チャプリンからの譲り物であったり、マッカーサー元帥の参謀のものだったり
と、どの話もドラマチックです。入手した時計の歴史を調査している点もす
ごいです。昔だからありえた話だと思いますが、懐中時計の奥深さが伝わって
きて、コレクターにはたまらない本となっています。
景山忠弘著/ダイヤモンド社/\1800/1998.1.30/ISBN4-478-95028-8
相撲コレクターの著者が骨董市めぐりをした時のノウハウや駆け引きなど
を記した本です。コレクター魂がヒシヒシと伝わってきます。特に一歩の
差で珍品をのがした時の様子や偽物だったときのショックなどが伝わって
きます。マニアにしかわからない世界でしょう。前半のレコードやVWのミ
ニカー、ビンなどいろいろなコレクターの紹介がありますが、人それぞれ
に個性的でおもしろいです。みなさん、コレクションしたいんだけどお金が
ないというのが共通しているそうです。とりあえず100個集めなさいと
いうのはよくわかります。また、珍品を入手するためになじみの骨董屋さん
から義理買いしたり、値切らないで買うなど苦労も多いようです。
真保裕一著/新潮社/\1800/1995.9.20/ISBN4-10-602741-0
織田裕二主演の映画の原作です。冬のダムを舞台にしたミステリー
です。奥只見をモデル地区として舞台にしているようです。綿密に
取材をしたようで臨場感がよく伝わってきます。ダムの見学をして
みたくなってきました。テロリストとの戦いよりも自然と自分との
戦いというテーマにもひかれました。
細野真宏著/中経出版/1999.11/9/\1400/ISBN4-8061-1288-7
カリスマ受験講師が書いた日本一やさしい経済の本というだけあって、わか
りやすく解説されています。特に、イラストやフォローチャートが多く、2色
刷りで関連ページへの参照が多いところがわかりやすいです。受験本のフォー
マットで書かれた経済本なのかもしれません。専門用語がわかれば、経済ニュ
ースもわかるようになるのではないでしょうか? 例えば、モラルハザードの
意味は「保障があるためにかえっていいかげんな気持ちになる状態」のことを
言うなどとわかりやすく書いています。特に日本経済の不調の原因や景気対策
の手法の問題点や難しさはよく理解できました。中学生くらいのレベルで書か
れているので、初心者にはおすすめの本です。次の世界経済編も読んでみたい
です。
鳴海章著/集英社/1995.7/31/\1700/ISBN4-08-775200-3
中華航空機の名古屋空港での墜落事故をモデルとした小説です。航空事故捜
査官が主人公ではなくて、事故を取材する新聞記者が主人公となります。飛行
機の仕組みやフライトシュミレーターの解析などは、詳細に記載されていてお
もしろいです。ただし、ストーリーは平坦で、ドラマックな展開はありません。
そのためちょっと物足りない感じを受けます。
小林聡美著/扶桑社/1994.10/20/\1100/ISBN4-594-01544-1
タレントの小林聡美がメキシコに旅をした時の旅行エッセーです。TVのキャラ
クタがおもしろいので、内容も期待していましたがいまいちでした。確かに個性
的な旅行記ですが、軽いエッセーの域を抜けていないので、旅行記としては物足
りなかったです。滞在日数が短いせいもありますが、もっと大事件が起これば本
領を発揮したのではないでしょうか?
タイトルの「ほげらばり」とは、foget about itのことだそうです。
宮部みゆき著/朝日新聞社/1998.6/1/\1800/ISBN4-02-257244-0
不動産の競売を題材にした小説です。インタビュー形式で話が進んでいく
点がノンフィクションぽくておもしろいです。殺された占有屋が本当の家族
ではなかったという謎解きもおもしろいですが、家族とは何か?家とは何か?
ということを考えさせられます。不動産競売の仕組みや裏側も少しわかり
興味深い小説となっています。ミステリーとしては、犯人の謎解き部分が
多少あっさりしすぎているようにも思えて残念でした。
C.M.チポラ著、常石敬一訳/みすず書房/1976.12/15
だいぶ古い本ですが、扱っている話題も1300年〜1700年の時計に関すること
なので、あまり気になりません。主に、ヨーロッパと中国の時計と文化に関
する関わりを述べています。もう少し、時計の技術面での進歩の様子が知り
たかったです。特に1700年までだと懐中時計の出始めのレベルなので、もう
少し時代の入った1850年くらいまで踏み込んでほしかったです。本の1/3が
注釈と引用文献の紹介にさいている点がすごいです。ただし、文献も日本か
ら簡単に取り寄せて読むことができるのかは疑問です。
志水辰夫著/新潮社/1990.12/1/\1400/ISBN4-10-602724-0
新潮ミステリー倶楽部の作品です。ハードボイルドということで期待して
いましたが、主人公の描き方が今ひとつでした。一般的な中年の元教師とな
ってしまい残念でした。
森尾由美著/ワニブックス/2000.5/1/\1200/ISBN4-8470-1317-4
嫁さんにすすめられてさっと読みました。タレントの育児本ですが、自然体
なところに好感が持てます。結婚から育児まで書いていて、ファンにとっては、
おもしろい本かもしれません。オリジナルレシピが役に立ちそうでした。
天童荒太著/新潮社/1994.1/15/\1500/ISBN4-10-395701-8
第6回新潮推理サスペンス大賞の優秀賞作品です。大賞でないところがいま
いちのできなのかもしれません。連続強盗事件と連続女性がからみあったサス
ペンス物です。推理小説でなくてサスペンス小説という点で犯人の狂気が十分
に描ききれていないところが大賞とならなかった理由のようです。コンビニを
舞台にしたところが、現代風で都会の若者の寂しさがよく伝わってきました。
素樹文生著/新潮文庫/H11.1/1/\667/ISBN4-10-127421-5
久しぶりのおもしろかった旅行記です。30才を目前にした著者が中国から
香港、ベトナム、カンボジア、タイ、マレーシア、シンガポール、ミャンマー、
インドへと旅する様子を日記風であったり、小説風であったりと雰囲気を変え
ながら綴っています。とても自然体に旅している様子に好感が持てます。本に
出てこない(書けないような)何気ない景色や風景が心に残っているというのに
共感を覚えました。文字にして表すことができるのは、旅の中のほんの一部分に
すぎないのだと思います。
与那原恵著/柏書房/2000.6/25/\1600/ISBN4-7601-1889-86
家庭崩壊している家族の中に他人が入ることにより解決をはかることを目的と
した「レンタルお姉さん」やインターネットで販売した青酸カリで自殺をした事
件のもとになった自殺志願者の集団、不妊治療の現場、小さな島で起こった殺人
事件、オウムと住民との関係など興味深いルポを集めています。現実を淡々と描
写する手法ではなくて、筆者の意見がストレートに書かれているためちょっと違
和感が残りました。もう少し対象の人物を深く知りたいと思うのですが、踏み込
みが足りないようで残念でした。
茂森あゆみ著、萩庭桂太撮影/扶桑社/2000.1/30/\2857/ISBN4-594-02843-8
元NHKお母さんといっしょの歌のお姉さんの写真集です。ニューヨークで撮影
したようです。もちろんセクシーショットはありません。(^o^)
エッセーが少しついていますが、もう少し文章が読んでみたかったです。
大野晋著/岩波新書/1999.1/20/\660/ISBN4-00-430596-9
ベストエラーになった本です。内容的に難しいかと思っていましたが、簡潔な表現
と演習問題や例題を多用した構成でわかりやすくまとめてあります。単語の意味に敏
感になることや、文章の骨格を作るためのノウハウが身につきます。特に、文章の縮約
や要約の訓練がためになりそうでした。「が」と「は」の意味や文書を作るときのワン
ポイントはとても参考になりました。何度も読み返してみたい本です。
井上昌俊著/プレジデント社/1997.11/1/\1500/ISBN4-8334-9027-7
苦労して木材会社を起こした四国の社長の人生訓話的な本です。社長業の合間に全国
で800回も講演しているところに人望の厚さをうかがうことができます。内容は、家族、
人間関係/仕事・自立/学校・教育/老い・死という章に分かれています。内容的には
なるほどと思わせる内容ですが、一般的な話がほとんどなので、人生に影響を与える
程の内容ではありませんでした。
天童荒太著/新潮社/1995.11/20/\2200/ISBN4-10-602742-9
ハードカバーで562ページの大作です。それぞれが内面に問題を持つ主人公が、かかわ
りあっていくうちに家族とは何かを考えさせられます。登校拒否や家庭内暴力をふるう
高校生の子供と親のすれ違いというのは悲しいものがあります。子育ての難しさを感じ
ました。猟奇的な殺人事件と通して問いかけてくるものがあります。登場人物がうまく
つながっているところに現実離れは感じますが、何だか物悲しいミステリーです。
藤原智美著/プレジデント社/1998.12/6/\1800/ISBN4-8334-9028-5
今、ベストセラーになっている「家族を「する」家」の前にかかれた本です。本の
半分をミサワホームのプレハブ住宅「GENIUS 蔵のある家」の分析についやされていま
す。実際にミサワホームに行き、開発担当者等を取材しているので、家の作り方につい
てやコンセプトなど部分は、なかなかおもしろいですが、サブタイトルの「後悔しない
家づくりと家族関係の本」という部分は、少し弱いような気がします。どちらかという
と、最新作の「家族を「する」家」の方がおもしろかったです。せっかく精神科医のK
さんとの対話が出てくるので、本当の対談形式にするか、精神科医の立場からのK氏の
解析(文書)も、みっと見てみたい気がしました。
ロム・インターナショナル編/雄鶏社/1993.12/10/\980/ISBN4-277-88043-6
「南極」とはどこの国のもの?などという素朴な疑問から、なぜチェコとスロバキア
が分離したのかという話まで多岐にわたっています。今まで知らなかった世界のいろい
ろな国の出来事がマメ知識的にわかりやすく解説されています。多少、発行年が古い部
分もありますが、地理の好きな人にはおすすめの本です。
宮田珠己著/旅行人/2000.5/25/\1400/ISBN4-947702-28-1
会社をやめて旅に出ながらエッセーを書いている著者ですが、文体にクセが
あって好みが分かれるところだと思います。本人は、ジョークのつもりで書いて
いる部分も浮いていると悲しいです。笑わせる部分も多かったので、小手先の
言葉遊び的なギャグではなくて、ストーリーを通しての笑いに徹してほしいと
思います。いろいろなジャンルに飛んだ旅行記で楽しく読むことができます。
内田康夫著/光文社文庫/1990.11/20/\460/ISBN4-334-71233-9
浅見光彦シリーズです。軽く読めるので最適です。今回は、栃木の日光を舞台
にしています。短歌雑誌の「日光」と謎をかけているところがミソですが、結末
がやや貧弱で残念でした。
藤原智美著/プレジデント社/2000.7/19/\1500/ISBN4-8334-9060-9
芥川章受賞作家の本です。前作の著書「「家族をつくる」ということ」の続編
です。最初の本の発表以降、住まいと家族について講演したりしていたようです。
内容的には、ちょっと物足りないですが、なるほどと思う部分もありました。
日本人は家探しをする際にリビングと子供部屋を重視しているが、欧米人は夫婦
の寝室を重視している。子供部屋のルールを決めずに与えるから親が子供部屋に
入れなかったり、引きこもりが起こる原因にもなるようです。また、郊外に住む
というのは、現状では流行らない形態になってきているというのも意外でした。
また、リカちゃん人形に傾倒した世代と、カントリーブームにのっている世代の
分析はおもしろかったです。まだ、子供が小さいので実感はわかないですが、
家族のまとまりの難しさを感じました。本当に家族をする意志が強くないとバラ
バラになってしまうのかもしれません。食事中に携帯電話を食卓に置いて、家族
の団らんが中断されるというのも時代の変化を感じます。
D.A.ノーマン著、野島久雄訳/新曜社/1990.1/25/\3300/ISBN4-7885-0362-X
認知科学者のデザイン原論。アプライアンス設計研修で頂いて、読むように言
われた本です。心理学や認知科学の立場からデザインについてのポイントをわか
りやすく解説しています。ドアや水道の蛇口、電話機などの具体的な題材をもと
に書かれていて、読みものとしてもおもしろい本です。
間違いを起こすのは、自分が悪いのではなくてデザインがいけないという点を強
調していたのが印象的でした。ビデオの操作ができない人は自信をもってデザイ
ンが悪い!といいましょう。
宮部みゆき著/集英社/1994.4/25/\1200/ISBN4-08-774061-7
6編入った短編集です。ちょっとミステリー風やSF風な作品があって楽しめ
ます。特に、死を宣告する死神にスポットを当てた「不文律」がおもしろかった
です。まったくのSFというよりも現実にありそうな感じをいだかせる作品が好
きです。そういう意味では、イタズラ電話の主にお仕置きをする「混線」は、い
かにもSF的で、もうひとひねり欲しかったです。
天童荒太著/幻冬舎/1999.3/10/\1900/ISBN4-87728-286-6 C0093
天童荒太著/幻冬舎/1999.3/10/\1800/ISBN4-87728-285-8 C0093
少年時代に児童精神科に入院していた3人がそれぞれに持つ心の痛みを軸に17
年後に再会した後に起こる事件を描いています。原稿用紙2385枚の書き下ろし
長編です。過去と現在が交互にくる構成で2冊分の物語の内容が読めるようです。
殺人事件のミステリーよりも自分の内面との戦いのほうに興味があります。少年時
代の家族のコミュニケーションの大切さを感じました。最後に明らかになる父親を
殺した犯人は意外でもあり、なかなかのミステリーに仕上がっていましたが、それ
以外の殺人については、少し余計に感じました。
柳美里著/小学館/2000.7/20/\1238/ISBN4-09-379204-6
妊娠、出産を通して未婚の母になる葛藤を描いていますが、それほど感動するよう
なことはありませんでした。自分の醜態をきちんと書いているところはえらいと思い
ましたが、未練たらしい記述が多いような気がしました。同居人の癌での闘病生活と
新しい命の誕生という対比があってこそ「命」について考えさせられる本であったと
思います。
ダニエル・キイス著・秋津和子訳/早川書房/1998.2/20/\2300/ISBN4-15-208142-2
ハードカバーで530ページもあるので、通勤時間に読むには重い本でした。
睡眠障害の女性の子供が殺されて、その父親が犯人として死刑判決をうけるのですが、
誤審であったことがわかり・・・
死刑執行をなんとか引き延ばそうとする弁護士と主人公の精神科医師とのやりとりが
話の大半をしめています。患者(死刑囚)の精神病を治せば死刑となり、治さなければ
患者が苦しみながら残りの人生を過ごすという究極の選択にどう立ち向かっていくのか
が考えさせられるテーマにもなっています。
過去のトラウマが事件の鍵となる興味深い内容でした。同時に催眠療法の怖さも感じ
ました。もう少しスピーディーに展開すると更におもしろくなったと思いました。
ジェフリー・アーチャー著・永井淳訳/新潮文庫/S62.9/25/\520/ISBN4-10-216110-4
ジェフリー・アーチャーの2作目の長編小説です。大統領の暗殺を企てるグルー
プとFBIの若手捜査官の駆け引きがおもしろいです。ついついストーリーに引き込
まれていきます。登場人物もよく描かれていて、混乱することはありませんでした。
最初は、エドワード・M・ケネディを主人公に書かれていたようですが、新版にな
り、あの「ロフノフスキ家の娘」のフロレンティナ・ケインを主人公にして時代背
景を新しいものに書き換えたそうです。最後の主犯格の男の存在が捕まっていない
ことが、不気味ですがなかなか楽しめる小説でした。
沢木耕太郎著/文春文庫/2000.1/10/\476/ISBN4-16-720910-1
前半の旅と本のかかわりに関するエッセーは、おもしろかったです。特に
深夜特急の本の中では記載されていない部分については興味深かったです。
後半の書評みたいな部分は、実際にその作家の本を読んでいないと理解しが
たい部分があるので今ひとつでした。
阿部芳子・広瀬寛著/ナツメ社/2000.2/9/\1200/ISBN4-8163-2755-X
先日のハワイ旅行でビタミン剤(B-Complex)を買ってきたので、ビタミンに
ついて調べるために図書館で借りてきました。ビタミンの知識からこんな病気や
症状の時は、このビタミンを取れば良いというアドバイスまで、初心者向けと
しては良くまとまっている本だと思います。ビタミンを含む食事のための献立例
も掲載されていて親切です。アメリカのビタミン剤のラベルに書いてあるDaily
Valueとこの本の所要量との差が大きすぎて、どちらが正しいのか良くわからなく
なります。アトピには、ビタミンB6(1.6mg)、C(100mg)、ビオチン(30ug)が
良いそうです。B6には抗アレルギー作用があるそうです。Cは、抗ストレス作用
があります。だいたいが水溶性で、過剰にとっても問題ないですが、中にはAの
ようにかえって害にある場合もあるので注意が必要です。
それにしてもアメリカのビタミン剤は安い!
西村京太郎著/徳間書店/83.10/15/\457/ISBN4-19-567532-4
マンションのモデルルームを舞台にした事件ですが、2つの事件が1つに結び
つくという点で多少混乱します。20年前の住宅事情もわかって興味深いですが、
謎解きという点ではあまりおもしろくありませんでした。
内田康夫著/徳間書店/92.6/15/\480/ISBN4-19-567191-4
城崎温泉が舞台の浅見光彦シリーズです。保全投資協会の事件を扱った「漂白
の楽人」の続編とも言える本です。土蜘蛛伝説とからめた旅情的な推理小説です。
謎解きにあまり主体はおいていませんので、犯人が誰かは最後までわかりません
し、予想するのも難しいです。
村上春樹著/講談社/S58.9/15/\240/ISBN4-06-183100-3
ほろ苦い青春を描く3部作のうちの第2弾ということですが、前作を読んでい
ないので関連性はよくわかりません。ストーリーもなんだかつかみどころがなく
て、それほどおもしろくはありませんでした。80年代を懐かしむ人にはピンボ
ールマシンの話題などは楽しいのかもしれません。
和久峻三著/角川文庫/H3.3/25/\430/ISBN4-04-177611-2
女性プログラマ殺人の罪で起訴された主人公の公判の様子を中心とした小説
です。推理物というよりも法廷物という位置づけですが、それにしては法廷で
の駆け引き等が多少あっさりしていて残念でした。弁護士側からのストーリー
へのからみも、もうあった方がスリリングな展開になったかもしれません。
最後は、意外な結末で裁判の怖さを感じました。
木谷恭介著/ケイブンシャ文庫/1998.1/15/\571/ISBN4-7669-2889-X
華道界を舞台にした殺人事件で、業界の裏話とからめて興味深い話でもありま
した。流派間の様々な思惑もあり、容疑者が絞れきれないところは、読んでいて
成功している設定だと思いました。犯人の動機が今ひとつ弱い気がしましたが、
意外は人物という点でありがちな結末にならずに良かったのかもしれません。京
都の地理に詳しい人が読めばもっと楽しめたかもしれません。
西村京太郎著/角川文庫/S60.9/10/\420/ISBN4-04-152709-0
十津川、亀井の名コンビシリーズです。舞台は、紀伊半島ですが、電車物のト
リックは、知らないとわからないものです。謎解きというよりは、読み物として
読む分には良いかと思います。世の中には、こんな閉鎖的な町というのは、まだ
存在しているのだろうかという疑問は残りますが・・・
シドニィ・シェルダン作/アカデミー出版/1993.3/1/\750/ISBN4-900430-21-8
下巻では、いよいよ社長を継いだ娘が狙われることになります。全ての重役に
動機があり、犯人が誰であるか最後までわからない展開です。後半になれば、だ
いたい想像がついてきますが、最後まで一気に読んでしまう展開です。最後は、
比較的ハッピーエンドなのが良かったです。
シドニィ・シェルダン作/アカデミー出版/1993.3/1/\650/ISBN4-900430-20-X
巨大大企業の社長が死亡して会社を相続した娘を主人公とした小説です。株を
公開させたいと願っている一族でもある重役たちの陰謀がミステリーとなり楽し
めます。上巻は、それぞれの人物紹介に大半の部分がさかれていますが、これか
らの展開に期待がもてそうな内容になっています。登場人物が全て、問題を抱え
ている点が特異ですが、犯人が誰だかわかりにくくしている点でおもしろいです。
別冊宝島490号/宝島社/2000.3/2/\857/ISBN4-7966-9489-7
5人の専門家に聞いたマイホームの買い時についてや、営業マンがあかした販
売現場の内幕などはおもしろかったです。今、住んでいる家がいくらで売れるの
か調べたルポや家賃並みで暮らせるのはどんな物件かを調べたルポなどは興味深
い報告もありました。昔から言われている賃貸と分譲のどちらが得だとか、グレ
ードの違いの一覧など、これから住宅を購入しようとしている人に取ってはおも
しろい読み物だと思います。データ重視のノウハウ本というよりは、あくまでも
読み物という位置づけだと思います。現場の内幕の話などは、もう少しいろいろ
な観点から知りたかったです。
アガサ・クリスティ著・清水俊二訳/ハヤカワ文庫/1976.4/30/\500/ISBN4-15-070001-X
無人島に招待された10人の男女が古い童謡の通りに次々と殺されていき、最
後には全員が死亡しているという有名なミステリーです。誰が犯人か最後までわ
からない展開ですが、謎解きよりも残された人々の恐怖と疑心暗鬼な心理描写が
優れている作品だと思います。最後の謎解き部分には物足りなさが感じられます
が、良くねられている作品だと思います。
大原照子著/大和書房/1999.9/30/\1400/ISBN4-479-78060-2
「ゆったりシンプルライフのすすめ」と題した本です。まずは、必要最小限の
モノしか持たなければ良いわけですが、買っては棄てるというサイクルでは省エ
ネの精神に反するような気もしますが、きちんとリサイクルされていれば問題な
いのでしょうか?
料理研究家なので、料理に関することが大半をしめていますが、イギリスに留学
した時の生活の様子などは興味深いです。
巻末の簡単シンプル家庭料理も役に立つかもしれません。
都筑道夫著/角川文庫/S55.12/10/\300/0193-142519-0946(0)
ものぐさ太郎の末裔という?物部太郎と助手の片岡直次郎の名探偵コンビに
よる推理小説の第3弾です。冒頭に片岡直次郎が殺人容疑で逮捕されるところ
から物語が始まります。昔、読んだ本を再び読み返してみましたが、それほど
おもしろく感じなかったのはなぜだろうか?
都筑さんの作品では「猫の下に釘を打て」が一番好きかな・・・
灰谷健次郎著/新潮文庫/S59.12/20/\480/ISBN4-06-263995-5
ゴミ処理場に住む子供達と新任の女性教師との交流から教育に関する問題を
考えさせる本です。こんな個性的な先生がいれば学校も楽しいだろうと思いま
すが、現実にはいろいろと大変なことも多いような気がします。昭和49年に
発行された本の文庫化だそうですが、古さを感じさせない良さがあります。
高杉良著/講談社文庫/1999.2/15/\619/ISBN4-06-263995-5
企業物の小説はあまり読んだことがないので新鮮でした。人事課長が主人公で
指名解雇を指揮した副社長と実行した人事部長に挑んでいくというストーリーで
す。1993年のパイオニアの指名解雇がモデルとなった小説だそうです。ありがち
な人物設定ではありますが、実際にもありえる話なのでしょう。平社員の私から
見ると自分に起こり得る状況としては考えられないですが・・・
最後の終わり方が今ひとつで、物足りない結末が現実的で残念でした。
荻原博子・鈴木眞理子著/インプレス/\1600/ISBN4-8443-1284-7
パソコンを利用して1年で100万円貯める方法を書いています。CD-ROMも付属
していて、本文で使用しているExcelシートやURLリンク集などが収録されています。
Excelを利用して家計簿をつけたり、金利計算をしたりできますが、それほど高機能
というわけでもなく初心者向きのように思えました。節約の知識もだいたい知って
いることばかりで新しい発見は少なかったです。
参考までに、いくつか紹介します。
電気のブレーカー基本料金(1999年9月現在、東京電力)
10A 赤 260円
15A 桃 390円
20A 黄 520円
30A 緑 780円
40A 灰 1040円
50A 茶 1300円
60A 紫 1560円
最初の120kWhまで 16.85円/1kWh
120kWh超〜280kWh 22.40円/1kWh
280kWh超 24.65円/1kWh
水道料金基本料金(1999年9月現在、東京都水道局)
呼び径13mm 920円
20mm 1230円
25mm 1520円
〜8m3 0円 下水道 560円
〜10m3 0円 下水道 110円
〜20m3 130円 下水道 110円
〜30m3 145円 下水道 140円
〜100m3 215円 下水道 170円
(1m3あたり)
サラリーマンが株の配当や内職、講演、執筆等のサイドビジネスの収入が20万円を
越えたら確定申告が必要。
ジョセフ・ソー・ダンクル著/主婦の友社/\1262/ISBN4-07-214801-6 C0095
ペンシルバニア州に住むアーミッシュの生活について記した本です。著者はアー
ミッシュではないですが、取材をきちんとされているようで詳しく記載されていま
す。四季に分けた日常生活の様子から料理、台所用品、ハーブ、学校、結婚式など
、イラストの豊富ですぐに読むことが出来ます。カントリー雑貨のWebPageなどで
さんかんにアーミッシュという言葉が出てきますが、キリスト教の宗派の1つで、
現代の文明の利器を使わずに生活していく厳密な人々は減ってきているようです。
今では、ランカスター郡に住む厳格なアーミッシュは17000人ほどだそうです。
カントリー家具に興味がある人は、アーミッシュの生活について、その歴史的背景
と共に知っておく必要があるかと思います。
村上春樹著/講談社/1999.2/15/\/ISBN4-06-263997-1
オウムの地下鉄サリン事件に遭遇した被害者60人へのインタビューで構成され
ています。比較的症状の軽い方から、寝たきりになってしまった方、死亡された遺
族の方など、それぞれの家庭があり苦悩があることが伺われます。医師や弁護士等
の証言からも重大事件であることがわかります。今もPTSD等で悩んでいる人も多く
いるので、このような事件が発生した時の行政のフォローも大切だと思いました。
被害者を口コミや足で探してインタビューへの協力をお願いするという形式を取っ
ているので、変にマスコミ慣れした回答でなはくて自然な意見が引き出せていると
思います。それぞれの家庭環境から仕事の様子を交えて、当日に体験したことを丁
寧に拾っていっています。事件当日のできごとよりも、その人の置かれている家庭
環境の方に興味が移ってしまうほど構成が良くできています。この本を読んでいて
本当に恐ろしい事件だったことが良くわかります。この事件を風化させないために
も、いろいろな人に読んで欲しい1冊だと思いました。文庫本で700ページを越える
大作です。
灰谷健次郎著/新潮社/H11.12/25/\1500/ISBN4-04-873204-8
倫太郎の中学校1年時の様子です。エリ先生の結婚式がメインの話ですが、多少
教育論的な話の部分が多くて退屈でした。倫太郎の活躍がもっと読みたいところで
す。学校のガラスが割られた事件をもとに、頭の固い先生達と親との話し合いがも
たれたり、学校側との連携をどうとっていくかという点に焦点が移ってきました。
次巻が楽しみです。
灰谷健次郎著/新潮社/H11.4/5/\1500/ISBN4-04-873159-9
倫太郎が中学校にあがる時のエピソードがメインです。特に小学校との違いへの
とまどいや管理強化における反発などが盛り込まれています。特に、不良グループ
との対立、頭の固い先生達との対立、おさななじみのリエちゃんの登校拒否事件な
どが話の中心となります。だんだんと成長していく様子が頼もしいです。
灰谷健次郎著/新潮社/H10.2/27/\1600/ISBN4-04-338407-7
倫太郎の小学校5年生の時の話です。少林寺拳法の話など、ちょっと退屈な部
分もありましたが、友達の複雑な家庭環境の話や登校拒否の話などメインの部分
はおもしろいです。
灰谷健次郎著/新潮社/1996.1/30/\1600/ISBN4-04-338407-7
倫太郎の小学校2年生から5年生までの記録です。担任の先生の方針の違いに
より、どのような影響が子供に及ばされていくのかが良くわかります。小学生に
もなると大人びてきて、ますますこれからの成長が楽しみになってきます。
灰谷健次郎著/新潮社/1996.1/30/\1600/ISBN4-04-338406-9
小瀬倫太郎が成長していく様子を綴った長編小説です。<幼年編1>では、保
育園から小学校2年生までを描いています。子供なりの価値観や正義感を持つ元
気な男の子の様子は、読んでいてすがすがしいです。特に両親やおじいちゃんと
いう恵まれた家庭環境もホノボノとしてうらやましい限りです。自分の子供も幼
稚園に行くようになったらどう接していけば良いのかというお手本にもなるよう
な気がしました。
谷川一巳著/山海堂/2000.2/15/\1500/ISBN4-381-10359-9
「航空事情の今がよくわかる」とサブタイトルにあるように日本に乗り入れて
いる航空会社や航空機についての解説が良くまとめられていて見やすいです。初
心者向けの飛行機マニュアルとしておすすめの本です。雑学編では機体の雑学、
運行と路線の雑学、空港と航空会社の雑学の3章で構成されています。時代ごと
に変わってきたヨーロッパ線のコースや共同運行の仕組みや中古市場の話、ハブ
空港の条件や以遠件の話などためになる雑学が満載です。
小林一輔、藤木良明著/岩波文庫/2000.2/18/\700/ISBN4-00-430656-6
千葉工業大学教授、愛知産業大学教授の2人が素人にもわかりやすく、マンシ
ョンの欠陥問題と対策、大規模修繕工事の進め方などをわかりやすく解説してい
ます。ハード面だけではなくて、マンションの法律(区分所有法)や管理組合の
役割などソフト面についても解説しています。特に破損部分や検査、工事の様子
を写真入りで解説しているところがわかりやすいです。白黒写真なので多少、わ
かりにくいのが残念でしすが・・・。欠陥や対策についても具体的な事例を取り
上げて説明しているので勉強になります。管理組合の理事の方は読んでみる価値
はあると思います。
大平光代著/講談社/2000.2/22/\1400/ISBN4-06-210058-4
中学2年の時にいじめを苦にして自殺を図るが、いじめは収まらず、行き場を
求めて非行に走り、16才の時に暴力団組長の妻になり、背中に入れ墨を入れる
が養父と知り合ってから立ち直り、宅建、司法書士に次々と合格し、29才の時
に1発で弁護士試験に合格した女性の話です。いじめは、人間の心をゆがめてし
まうのを痛感しました。親としても子供が困っているときに、どのように接する
かで、その後の子供の人生が変わってくることに責任を強く感じました。たまた
ま、非行から立ち直り、非行時代の両親への暴行に後悔の念を抱くところは、本
当の「悪」ではなかったと思います。過去は帰られないから、逃げないで向かい
合って生きていく姿に感銘を受けました。努力すれば何でもできることを身をも
って証明してくれた素晴らしい人だと思います。中学の参考書を買ってきてから
始めた勉強が、司法試験合格のレベルまで到達するのですから、何事もあきらめ
てはいけないと勇気がわいてきます。児童書のため漢字にふりがながふってあり、
読みやすい本ですので、いじめられている中学生や非行少年たちに読んでもらい
たい本です。彼女の弁護士としての仕事のドキュメンタリーも見てみたい気がし
ました。
川北義則著/ダイヤモンド社/1999.4/15/\1400/ISBN4-478-62036-9
デフレの時に大きな借金をしない方が良いとか、人口の減少や企業や農家の土地
売却により、家あまり現象がおきるなど・・・今、買ってはいけない理由が述べら
れていますが、長期的な視点から見ると正しいとは思いますが、本当に3年間だけ
我慢すれば良いのかという点についての根拠はあまりないように思います。確かに
借金のリスクをあまり考えないで住宅を購入する人も多いので、ブームに載せられ
て判断を誤らないようにという提言については賛成します。ただし、住宅購入に関
しては、人それぞれのライフプラン(社宅期限の終了や子供の学校の問題)等もあ
って、景気の推移を見守る余裕などは、ないように思えます。住宅ローン減税によ
る需要喚起に警告を送るのは良いですが、理想と現実はなかなかうまく折り合いま
せん。子供が独立して、家族構成が落ち着くまで賃貸で暮らし、頭金をたくさんた
めた老後に30年しか持たない日本の家を買うというのが結論でしょうか?
福原正弘著/東京新聞出版局/1998.8/21/\1500/ISBN4-8083-0648-4
日本の代表的なニュータウンである多摩(東京)、千里(大阪)、高蔵寺(愛知)、
港北(神奈川)、千葉(千葉)の各ニュータウンの様子をレポートしています。地
区センターの店舗の移り変わりや住民の年齢の移り変わり、開発の計画と実際の進
捗状況、住民へのアンケート実施による長所と短所のあらだしなど、多彩なデータ
がそろっています。昭和46年から始まった多摩ニュータウンでさえ、まだ70%
の完成度のようですが、その段階で既に高齢化が起きている点が問題かもしれませ
ん。また、千葉ニュータウン等、計画通りの人口が集まらないなどの問題も起きて
いるようです。先輩の国であるイギリスのニュータウンのレポートも掲載されてい
ますが、文化の違いもあることから一概に比較ができない部分もあるかと思います。
日本ではどのように開発をすすめていくべきなのかが、これから問われてくる問題
と思います。計画的な街は住みやすい分、完成までに時間がかかるのも欠点のひと
つかもしれません。これから初期のニュータウンが、どのような道にすすんでいく
のか、興味が持てる内容でした。
赤池学、江本央、金谷年展著/TBSブリタニカ/1999.7/8/\1600/ISBN4-484-99208-6
タイトルからいろいろな建築上の問題点を指摘している本かと思ったら、マンシ
ョンの断熱方法について記述した本でした。日本のマンションの結露、カビ問題は
コンクリート壁の内側に断熱材を張る内断熱工法が原因であり、壁の外側に張る外
断熱工法にすれば解決できるという話です。日本のマンションの99%は内断熱で
外国(ドイツ、スウェーデン等)にからすると非常識な工法として見られているよ
うです。外断熱にすることにより建物自体の耐用年数も増え、省エネ効果も大きい
そうですが日本で普及しないのは不思議です。外断熱だと建築コストが上がる、大
きなバルコニーがつけられない、窓が小さい、奇抜な形にしにくいなどのデメリッ
トもあるからかもしれません。健康を考えたら外断熱が良いことは、わかりました
が、日本に1%しか存在しないのでは選択の余地がないように思います。自分でコ
ンクリートの一戸建て住宅を建てれば良いのかもしれませんが、庶民にそんな大金
が出せませんし、困った問題です。内断熱派のゼネコンやデベロッパーの意見がな
いのが片手落ちのような気がしました。また、日本の99%の内断熱に住んでいる
人はどのような生活をすれば良いのかの提言もして欲しかったです。
松居一代著/PHP研究所/2000.3/2/\1200/ISBN4-569-60864-7
「ゼネコンに勝った!壮絶600日の全記録」とあるように、自宅マンションの
3畳の衣装部屋の天井が突然落ちてきたことから欠陥マンションだったことが判明
し、ゼネコンとの駆け引きが始まります。スーパゼネコンS建設施工、大手R社販
売の物件とのことですが、だいたい想像がつくのではないでしょうか? それにし
ても40坪の3億円の物件だったということもあり、対応の仕方が庶民向けではない
ですが、苦労の様子が伝わってきます。3億円の物件というのに、配水管のつまり
や防水層の破損、床下がドブ池状態だったというのには驚きです。手抜き工事の恐
ろしさを感じました。衣装部屋で被害にあったものが431点、5000万円ほどで、保
険が下りたのが1628万円だったそうです。また、修繕工事中には1泊5万円のホテ
ル日航東京に泊まり、子供の送迎にはハイヤーを手配してくれ、経費として1500万
円をもらったというのですから対応は良かったのではないかと思います。芸能人で
この様子がTVのワイドショーでも取り上げられたのが強い味方となったのではない
かと思います。3000〜4000万円の物件を買った一庶民には、こんな待遇はしてくれ
ないでしょう。慰謝料の裁判でも200万円で示談が成立したそうですが、精神的な
ショックはお金には換えられないと思います。
桃井和馬著/求龍堂/1999.11/4/\1800/ISBN4-7630-9934-5
ソマリア、ボリビア、ペルー、アメリカ、日本の5章から成り立っています。
いずれも、冒頭にEメールのヘッダー部分がついていますが、特定の誰かに向けて
送ったというような形式ではなくて、ちょっと中途半端なように見えます。昔だと
誰かにあてた手紙形式のエッセーになるところですが、今の時代はEメールになる
わけですね。アイディア的にはおもしろいので、電子メディアの特性を生かした構
成にすればもっと良かったのにと思います。内容もバラエティに飛んでいて、1通
のメールに納める形式では無理があるように思います。(メールにしては相手に対
する記述が淡泊すぎる)
ボリビアの移民の街「オキナワ」やアメリカの「ホピ」の取材などは興味深かった
です。本業がカメラマンのため、美しい写真が章の終わりについていますが、もっ
とみたい気にさせられます。
桐野夏生著/講談社/1999.4/15/\1200/ISBN4-06-207919-4
北海道の支笏湖の近くの別荘で突然、行方不明となった5才の女の子とその周辺
の家族がバラバラになってく様子を描いた作品です。最近、新潟で9年間も拉致監
禁されていた事件が発覚した後だけにリアリティーがあります。特に懸命に探す母
親の姿には痛ましい物を感じました。いろいろな人の夢としていくつかの想像が出
てきますが、どの話も実際の結末としては問題ない展開で、あえて犯人を書かなか
ったことに斬新さと物足りなさを感じました。でも、最後に主人公が娘を探すのを
あきらめることにより、自分の人生を歩んでいこうとする姿に割り切りの難しさを
感じます。以前、ニュースステーションに出演されていた時に、犯人は誰ですか?
との質問に著者自身もわからないと言っていた点が印象的でした。小説の中の話と
はいえ、小さな子供を持つ親としては人ごとではない気がしました。
原田秀樹著/実業之日本社/1997.4/15/\1200/ISBN4-408-41601-0
仕事−発見シリーズ31として、中高校生向けに仕事の喜びや悩みなどを伝える
ための本のようです。今回は、全日空の現役パイロットとしてB747に乗っている著
者の話です。幼少の頃の話など自伝的な部分は、あまりおもしろくないですが、全
日空に入る時のきっかけやオックスフォード飛行訓練学校での様子などは興味深か
ったです。日常業務での日記はおもしろかったので、もっと読んでみたい部分です。
紺野美沙子著/世界文化社/1993.6/8/\1000/ISBN4-418-93506-1
女優の紺野さんが旦那さんであるTBSプロデューサーの篠田さんとの出会いから交
際を通して結婚にたどり着くまでの出来事を正直に書いています。「三十路の会」
メンバーの話やお見合いの話、結婚に対する願望など普通の女性として自然体で
書いているところに好感が持てます。また、恋愛中や新婚生活での幸せそうな文章
がほほえましいです。31才で結婚した紺野さんを目標にする「三十路の会」予備
軍も多いのかな?
坂本和雄著/日本実業出版社/1991.2/10/\1500/ISBN4-534-01693-X
始めてマンションを購入しようとする人、マンションからマンションへの買い換
えを考えている人に向けて書かれた買い方の本です。広告・ちたしの見方や申し込
みから入居までの手続き、間取りや設備の話、資金計画と有利な借り方、修繕、リ
フォームについて、買い替えのアドバイス、中古マンションの見分け方、税金と保
険の話、法律、規則の知識までひととおりの情報がそろっています。非常にわかり
やすく順を追って説明していますが、既に10年前の本なので設備についての話題も
古かったり、不動産が値上がりしていくことを前提にした意見もあり、時代と少し
ずれてきているのが残念でした。マンション購入を検討し始めた初心者におすすめ
の本です。
中島猷一著/講談社/1998.3/20/\1500/ISBN4-06-209148-8
新築マンション、中古マンションを購入すう時に注意しないといけないところを
管理の面からわかりやすく解説しています。特に入居後の管理組合の活動について
どのように行っていくのが良いのかが具体的に示されています。管理組合の理事に
なっている人はぜひ読んでみると良いかと思います。特に管理会社を通すことによ
り中間マージンを多く取られ過ぎていることがあり、自主管理に移行することの大
切さを感じました。行政がマンションに関してのサポートがないのは、ノウハウが
ないからだというのがわかりましたが、これからの時代はそうも言ってられないよ
うに思います。
マンションから一戸建てに移り住んだ人は10%で、そのうちの68%がマンションの方
が生活がしやすかったというデータも出ているようです。
管理組合新聞社 03-5996-4091
竹永茂生著/情報センター出版局/1991.9/11/\1000/ISBN4-7958-0125-8
「パンは東京で、美酒は田舎で」がエリートというサブタイトルがついています。
著者が理想の別荘を持つまでの奮闘記です。著者なりの価値観や譲れない条件があ
り、それを満たした物件を探すのに苦労しているのが伝わってきます。海のそばの
100坪の土地を条件に三浦半島、千葉の外房、伊豆まであちこちを見てまわってい
ますが、なかなか条件にあう物件が出てこないようです。特に田舎の人の値段の相
場は、知人が売った坪単価が基準でその土地の条件などお構いなしのことが多いよ
うで交渉も大変なようです。教訓として地元の工務店や大工さんを通すと良い物件
に巡り会うことができるそうです。結局、下田市の須崎に別荘を持つことができた
わけですが、都内の自宅を千葉の館山に移そうとして奥さんの反対にあって断念し
たり、田舎暮らしへのハードルはいろいろと高いようです。物件選びの段階での期
待感や挫折感が良く伝わってきていろいろ勉強にもなりました。
矢崎葉子著/太田出版/1990.5/30/\1300/ISBN4-900416-88-6
だいぶ前にTVドラマ化された時の原作です。家賃\9000の2DKの社宅から持ち家を
持つまでの道のりを実話にもとづいて書かれています。ちょうどバブルの絶頂期で、
同じ間取りのマンションが1期、2期、3期と半年ごとの売り出しで価格が500万円
ごとにあがっていく様子は壮観です。それなのに人気物件の抽選倍率が平均でも212
倍とか3桁を記録しているのは不思議な現象に思います。昭和62年の倍率ベスト5
の部屋は、なんと6137倍、3568倍、1016倍、967倍、758倍と宝くじなみだったようで
信じられません。主人公も抽選に15連敗していて、更に優先倍率が10倍/20倍の権利
が得られる公庫の住宅債券「つみたて君」の募集にも2連敗しているという目もあて
られない状況でした。(当時のつみたて君の倍率は約2倍)
結局、横浜線相原駅からバス30分徒歩5分の津久井郡城山町にある115m2の土地の80m2
の一戸建てを3780万円で購入して幕を閉じました。旦那は、川崎にある会社まで片道
2時間から2時間半もかけて通勤することになります。果たしてここまでこないと家が
もてないのならば、持ち家の意味があるのだろうかと考えさせられます。モデルルー
ム巡りをしていた物件の間取りなども具体的に掲載されていて、その範囲が相鉄線や
小田急線など私の近所なので親近感もわいてきました。
それにしても厳しい現実を感じました。
五木寛之著/幻冬舎文庫/H11.3/25/\476/ISBN4-87728-704-3
前向きにプラス思考で生きていこうと頑張る時に読む本という位置づけのようです
が、それほど説教臭くも宗教的でもなく、重苦しくないところが良い本です。ただし、
この本を読んで人生観が変わるかというとそれほどのインパクトは感じませんでした。
ただし、「なにも期待しないという覚悟で生きる」などは共感のできる言葉でした。
著者の実体験に基づく人生訓話のような本です。
群ようこ著/角川文庫/H3.1/25/\500/ISBN4-04-171702-7
1987に刊行された本の文庫化です。昔に一度読んだことがある本です。群さんが
20才位の時に単身、おばさんを頼りにアメリカに渡った時の話です。今と違って昔
はたいへんなことだったように思います。話の大半が下着メーカーのバイトで知り
合った人たちの観察日記のようですが、何もせずにぶらぶら過ごしているアメリカ
生活が事件もなく平凡なのに、ある意味、新鮮な旅行記になっています。
土井全二郎著/光人社/1999.4/30/\1800/ISBN4-7698-0904-2
朝日新聞元編集委員で海事ジャーナリストの著者が船三井客船の豪華客船「にっ
ぽん丸」に乗って世界一周したときの記録です。主なコースは、東京−香港−シン
ガポ−ル−ムンバイ−スエズ運河−ミコノス島−マルセイユ−カサブランカ−ブレ
ノスアイレス−リオデジャネイロ−パナマ運河−アカプルコ−サンフランシスコ−
アラスカ−東京の90日間の日程です。費用は340〜1100万円だそうです。
日本の豪華客船のため食事やアトラクションなどはいたれりつくせりのようです。
クルーズにはあこがれますが、今回の旅の平均年齢が68才とのことで年齢層が高
いので若者は浮いてしまいそうです。普通の人ではなかなか参加できない船旅の世
界を知ることができて貴重な本でした。
多湖輝著/日本文芸社/H11.10/20/\800/ISBN4-537-14000-3
昔「頭の体操」を読んでいたので、多湖さんの名前を見たときには懐かしかった
です。この本では、日常によくありそうなできごとを例にして心理学上の解説をや
さしく記載しているものです。NoをYesに変えるひとこと、言葉の裏に隠された本
音を見抜く、ソノ気のない人をソノ気にさせる心理作戦、マイナス印象をプラスに
変えるコツ、心理を逆手にとる究極のテクニック・・・などです。なるほどと思う
ことはありますが、すぐに自分に役に立つかは別のような気がします。
ジャン=ドミニック・ボービー著、河野万里子訳/講談社/1998.3/5/\1600/ISBN4-06-208867-3
フランス「ELLE」の編集長であったが、脳出血で突然倒れた後にLIS(ロック
トイン・シンドローム)という左目のまぶたしか動かせない寝たきりの状態になっ
てしまった著者が病床で書いたエッセーです。どのように記述したかというと、第
3者にアルファベット一覧を読み上げてもらい、該当する部分にきたら唯一動くま
ぶたで合図を送り文章を構成していくという気の遠くなる作業で作られた本なので
す。20万回以上の瞬きで書かれた本のようです。意識がはっきりしているのに全身
麻痺状態であることの辛さが痛いほど伝わってきます。自分だったら気が狂ってし
まうのではないかと思います。残念なことにLISになった1年後に死亡してしま
いましたが、自由に歩き回れることの素晴らしさを忘れてはいけないことを思いし
らされました。
矢崎葉子著/太田出版/1994.9/27/\1300/ISBN4-87233-185-0
独身の30〜40代の女性が4人が実際にマンションを買うまでのドキュメンタリーで
す。多少、フィクションが入っているような表現も感じられましたが、これが現実
なのかもしれません。当時は、金利も価格も高かったので、今と単純な比較はでき
ませんが、それでも苦労が伝わってきます。先着順物件は、申し込み受付日の1週
間以上前から徹夜で並んでいる人たちに整理券が配られてしまい、申込日に行って
もキャンセル待ちにしかならないという話や、抽選の物件も4〜5倍でなかなか当た
らない、現在住んでいる物件が値下がりして住みかえができない、中古マンション
を買ったら諸経費がものすごくかかり支払いが苦しくなったとか・・・ためになる
話が満載です。人ごとながら苦労が伝わってきて主人公の焦りもわかるような気が
します。実際に住んでみた後の2〜3年後の感想などのフォローも欲しいところでし
た。
桐野夏生著/文芸春秋/1995.10/15/\1600/ISBN4-16-640050-9
女探偵ミロシリーズの第3作目ですが、今回の主人公はミロの父親の村善がトップ
屋をしていた若い頃(1963年)が舞台となっています。なぜ、週刊誌のトップ屋から
暴力団の調査屋(探偵)になったかや、娘のミロの出生の秘密などが話の伏線となっ
ていて、そちらの方もミロのファンにはたまらないでしょう。
事件の方は、爆弾魔と女子高生殺人犯の関係がからみあって複雑化しているところが
謎めいていて良かったですが、爆弾魔の方の最後が多少、物足りない気もしました。
ただ、最後のエピローグの3ページはとても良い終わり方でした。
尾崎幸男著/河出文庫/1999.9/3/\660/ISBN4-309-47388-1
建設省国土地理院に勤めていた著者が地図の魅力を語った本です。スエズ運河の誤
測の話からスティーヴンソンの「宝島」の地図を今の時代に測量して作ると陸上の作
業だけで145日かかり、日本の専門の会社に依頼すると経費が4億7千万円になる
などのシュミレーションもおもしろいです。富士山の標高は、実際は3775.63mだとか
1等三角点の意味など測量に関しても興味深い話が読めます。巻末に時代ごとの地形
図の売れ筋を表にしていますが、やはり山岳地帯に人気が集まっているようです。
松下猛著/風塵社/1994.3/5/\2000/ISBN4-938733-08-0
時計マニアで有名な松下さんの時計に関するエッセーです。フランク・ミューラー
などとも交流があるようで、スイスの時計職人に会ったときの話はおもしろいです。
ブランドストーリーは、時計雑誌などで書かれるような内容からもう一歩踏み込んだ
解説が欲しかったです。アンティーク時計を語るには良いですが、最新の時計につい
て語ると、読んでいる今では既に5年前の時計の解説になってしまいます。写真も白
黒が多いのが残念です。白黒写真でももっと鮮明な写真があれば良かったのですが。
ところで、タイトルの「おろろじ」とはどういう意味なのでしょうか?
Rマニア著/日本テレビ/1999.10/28/\952/ISBN4-8203-9735-4
Part1の続編で、ミャンマー→タイ→マレーシア→シンガポール→インドネシアのコー
スで、ゴールのジャカルタまでの旅行記になっています。ミャンマーでは強制的に出国
させられるなど苦労しているようで、タイからのリスタートになっています。タイでは
モンスーンの影響を受けて大変な様子がうかがえます。プーケット島やペナン島などに
も立ち寄っていますが、海上からの様子がほとんどなので、島内の記載が少なくて残念
でした。途中で大喧嘩を何度かしているようですが、中島さんの前向きな姿勢がすばら
しかったです。特に今回のゴールは、これで終わりではなくて、これからの芸能界での
スタートとしてとらえている点が印象的でした。
ゴールお疲れさまでした。これからの活躍に期待したいと思います。
Rマニア著/日本テレビ/1999.8/10/\952/ISBN4-8203-9731-1
TV番組の企画「電波少年的スワンの旅 in the world」に参加したRマニアの中島裕
さんと宿輪竜一さん2人の旅行記です。スワンをこいでインドからインドネシアに向かう
という旅で、今回は、インド→バングラディッシュ→ミャンマーまでとなっています。
ミャンマーへは海上から入れずに飛行機で移動するという苦渋の選択を迫られる部分が良
く描かれています。今までの猿岩石、ドロンズ、朋友の旅行記も読んできましたが、今回
の本の構成は2人の日記を色別で分けて1日分にしているのでとても読みやすくなってい
ます。ただし、原文に忠実にあろうとするため誤字もそのまま載せているし、ひらがなも
多いので、その点に関しては読みにくいです。ヒッチハイクの旅とは違った旅の形式なの
で興味深く読むことができました。ただし、TVで放映されない部分での裏話的な部分が
思ったより少ないのが残念でした。
桐野夏生著/講談社/1997.6/15/\619/ISBN4-06-263523-2
前作「顔に降りかかる雨」で活躍した女探偵ミロシリーズの第2作目です。今回は、
失踪したAV女優の捜査依頼からストーリーが始まります。業界事情や話の裏付けなど
も良く取材されていて違和感なく自然にストーリーに入っていけます。もっと恐ろしい
組織が出てくるハードボイルドかと思いましたが、じっくりと謎解きをする姿勢に共感
が持てました。主人公が、調査対象者と寝てしまって自己嫌悪に陥るなど、不完全かつ
不安定な部分も描かれていて、スーパーウーマンとして描いていないところに好感が持
てます。これからも、このシリーズは期待が持てそうです。
青木雄二著/角川春樹事務所/1999.5/8/\1200/ISBN4-89456-149-2
有名マンガ「ナニワ金融道」の作者の本です。主に日本のだらしなさを独自の切り口
で書いています。著者の哲学がしっかりしていますので言っていることに一貫性があっ
て説得力があります。自民党は失格だとか、核兵器を配備しろだとか過激な意見もあり
ますが、失策をした政治家は責任を取るべきなどというのは納得できる部分です。この
まま赤字国家の日本は、自己破産でもしないと救われないと言う冗談は冗談に聞こえな
いところが悲しいですね。
桐野夏生著/講談社/1993.9/1/\1400/ISBN4-06-206668-8
第39回江戸川乱歩賞の受賞作です。著者の女探偵ミロシリーズの第1作目となって
います。ストーリー展開も自然で、最後の結末も型通りで終わらずに、ひとひねりして
あるところがおもしろかったです。ネオナチや死体写真愛好家などの設定にも工夫がさ
れていたと思います。魅力ある主人公なので、シリーズ化になったのもわかる気がしま
す。次の作品も読んでみたいと思いました。
それにしても江戸川乱歩賞の副賞が1000万円というのを知っていました?
藤原伊織著/講談社/1997.6/13/\1700/ISBN4-06-208623-9
藤原さん独特の世界は、好きですが、3冊目となると他作との設定に似ている部分が
気になってきます。今回の作品では、ヤクザ、同性愛者、デザイン会社・・・と新作の
「てのひらの闇」と似たような設定が気になりました。内容としては、ファン・ゴッホ
のアルルの8作目の「ひまわり」の謎と主人公の奥さんの自殺の謎を絡めて描かれてい
て、ミステリーとしては楽しめました。「ひまわり」の謎よりも自殺の謎についてどう
いう結末が用意されているのか興味がありましたが、相変わらず周りの関係者は知り合
いとしてつながりがある点に現実感が薄れてしまいます。偶然のつながりは1つくらい
にとどめておいた方が良いと思います。
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