パリの夜景

Paris 旅行記


<初めに>

1996年10月9日(水)〜14日(月)まで6日間でパリに旅行してきま
したので、その模様を報告します。今回は、飛行機のチケットとホテルのみで
予算が1人、11万5千円と格安の旅でした。そのため、ホテルはパリ郊外の
メトロ7号線のAubervilliers Pantin 4 chemine駅から徒歩20分と不便なと
ころにある「FIMOTEL LE RELAIS」という1泊ツイン350FFの2つ星ホテル
に宿泊しました。
Airは、サベナ・ベルギー航空でブリュッセル経由のパリ行きです。旅行
会社は、雑誌「ABロード」で見つけた(株)サイクルツアーというところ
です。
早くも出発の3週間前に航空券とホテルのバウチャーを送ってきたので、や
るなあと思っていましたが、一任していたホテルの詳細(最寄り駅からの地
図やアコモデーションなど)が何も同封されていないのです。ホテルの名前
は、「FIMOTEL LE RELAIS」というところらしいですが、旅行会社に問い合わ
せても「詳細な地図はこちらにはない」と言われてしまいました。今からホ
テルを変更すると手数料が2万円もかかるというので、あきらめて自分で情
報を集めることにしました。格安ツアーとは言え、サービスが悪いぞ! 
これなら航空券だけ頼んで、自分でホテルを探して予約すれば良かった・・・
バウチャーを発行したGTA(ガリバートラベル)にも電子メールで問い合
わせてみましたが、「お客様がご予約されているホテルの情報ですが、あい
にく当社にもこのホテルに関しましては、最寄り駅からの地図等、詳しいご
案内がございませんでした。ご了承願います。」との返事が帰ってきました。
とりあえず、アップルホテルズのホテルFAX情報サービス一覧を取り出し
てみましたが、リストにも載っていません。住所から言うと、パリ19区の
外側のAubervilliers地区らしいですが、どのガイドブックを見てもパリ郊外
の地図は載っていないのです。せいぜい載っていても科学・産業博物館のあ
るラ・ヴィレットまでです。あまり有名なホテルではないらしく赤坂のフラ
ンス政府観光局でもらってきたホテルガイドの冊子にも載っていません。仕
方がないので、InternetのWWW検索サーバー「ALTA VISTA」で調べてみました。
すると1件だけ検索に引っかかったページがあり、なんとか見つけることが
できました。ダブルルームが350Fの2つ星ホテルで、バーとレストラン
があることがわかりました。見つけたページは、The Paris Pagesで、パリ
の2000件のホテル情報を満載しているので便利かもしれません。ホテル
情報以外にも観光案内は充実していましたのでおすすめです。他には、発駅
と着駅を入れると経路を表示してくれる
「駅すぱーと」のパリ メトロ版とも言えるページもおもしろいかもしれません。
ホテルの概要はわかったものの、行き方がわからないので直接ホテルにFAX
をして地図を送ってもらうことにしました。すると、きちんと英語で駅からの
道順を説明してくれた返事が来たので、印象は大幅にアップしました。ただし、
概略図なので付近の目印になる通りや建物などが良くわかりません。そこで、
更にフランスの観光案内所(+33-1-49 52 53 20)にFAXでAubervilliers地
区の地図をお願いしたところ、なんと4時間後に返事が来るというスピーディ
ーな反応に驚きました。フランスのみなさんは、本当に親切で感激しました。

ただし、問題はホテルが駅から遠いことなのです。

1.CDGからRERのB線で「La Courneuve Aubervilliers」駅下車後に
  La Villette 行き150番バスで「La Mairie」下車、徒歩5分
  (ただし、バス停からホテルまでの道順は、調査中)

2.CDGからRAPT(市バス)で東駅まで行き、メトロ7号線で
  「Aubervilliers Pantin 4 chemine」駅下車、徒歩15分

La Courneuve Aubervilliers駅から距離にして2Km、Aubervilliers Pantin
4 chemine駅からだと1Kmと、どちらにしても遠いのです。空港到着が夜の
8時頃なので、知らない土地でスーツケースを持ってウロウロするのは疲れ
そうです。いっそのこと、出費を覚悟で東駅からタクシーという手もあるかな
と思っています。

パックツアーに比べると、なんだかんだと苦労は多いですが、それはそれなり
に旅の楽みと思うことにしています。(笑)

今回の旅は、パリに4泊しますが、丸々使えるのが3日間しかないため、一緒
に行く嫁さんにはブランド物ショッピングをあきらめてもらい「パリの街歩き」
をテーマに行って来ました。



(1)10月9日(水)

 朝の5時に起きて、6時に自宅を出発します。出発の1週間前に成田エクス プレスも京成スカイライナーも満席で予約できなかったため、京成の特急列車 で成田空港まで向かうことになりました。荷物は、事前にNPSスカイポータ ーズに頼んで成田空港まで送っておきました。(荷物1個で約2千円) 空港に着いてから円をフランに変えましたが、1FF=\24.91でした。(高い!)  今回のAirは、サベナ・ベルギー航空のブリッセル乗り換えのパリ行きで す。30分遅れの午前11時半にSN208便は成田を出発しました。機内は ほぼ満席状態でした。出発してすぐに機内食が出てきます。それからしばらく して映画が2本上映されますが、私は1本目の「ブロークン・アロー」を見た 後に出てきたサンドイッチを食べて寝てしまいました。ブリュッセルには現地 時間の16:30頃に着きますが、到着直前に軽食が出てきます。  空港では、到着したBターミナルからパリ行きの便が出るCターミナルまで かなり歩きます。パリ空港行きのSN925便は、B737でしたが半分くら いが空席でした。飛んでいる時間が30分ほどなのに飲み物と軽食のサービス があり驚きました。一応、国際線なんですね〜 サベナ・ベルギー航空  ベルギーでは、乗り換えの時に入国スタンプを押してもらいましたが、フラ ンスに入国する時にはスタンプが押されないんですね〜。荷物が出てくるとす ぐに外に出れるのでスムーズなこと。(欧州旅行は初めてだったので手際の良 さに感動しました) サベナは、第2ターミナルの方に到着します。バスでパ リ市内まで出る予定でいましたが、RER(郊外高速地下鉄)の駅が近いので 北駅まで出てからタクシーを使うことにしました。RER乗り場に行く人はほ とんどいなくて、通路もガラガラでした。さすがに空港の駅なので、切符売り 場では英語が通じて、ホッとしながら切符を買いました。(片道46FFは高い!)  RERに乗るために駅の自動改札を通ろうとすると、ビーとブザーが鳴って しまいゲートが開かないのです。別の改札機で何回か試してみますが、だめで した。どうやら切符を通したらすぐにバーを押して中に入らないとタイムオー バーでゲートが開かなくなってしまうようです。荷物が多くてモタモタしてい たのがいけなかったようです。1回改札を通した切符は、その後に何回通そう としても通れないのはあたり前なのですが・・・ しかし、最初はわけがわからないので切符売場の窓口に戻って、ゲートが通れ なかったと言うと、新しい切符に変えてくれました。私の方は2回目でスムー ズに通れたのですが、嫁さんの方がもたもたしていて、またブザーを鳴らして 通れないでいるのです。しょうがなく、1人でトボトボ窓口に戻って新しい切 符に交換してもらい、3回目にしてやっと改札を通ることができました。 #切符売り場の駅員もあきれていたことだろう(笑)  ちょうど快速電車だったので30分ほどで北駅に到着しました。夜の7時半 頃なので、人がたくさんいるのでタクシー乗り場を聞いてみます。すると、タ クシーは遠回りされてボラれるので、メトロで行った方が良いと強く進められ ました。乗り換え方法を丁寧に英語で説明してくれるので、断るのも悪くて、 予定を変更してメトロでホテルに向かうことにしました。  ホテルの最寄り駅までは難なくたどり着けましたが、地上に出てからがさっ ぱりわかりません。さっそく、近くのお店に入って道を尋ねるとフランス語で ペラペラ話されてよくわかりません。とりあえず、方角だけ確かめて歩いてい くことにしました。さっきのおじさんの示した方角が正しいのか不安なので、 しばらく歩いてから、レストランのおじさんに再び道を聞いてみます。またも や英語は通じないが、雰囲気からまだまだまっすぐに歩いていけばいいらしい。  信号を説明するのに手でチカチカとジェスチャーをしてくれたり、こちらの 見せた地図が老眼で見えないと言うおじいさんや、なんだか良くわからない怪 しい地図を書いてくれた果物屋のおじさんなどなど・・・というようなことを 8回くらい繰り返して、なんとかホテルまでたどり着きました。最後に聞いた スポーツクラブから出てきたおじさんが何と英語が話せて、やっと正確な場所 がわかりました。でも、みんなとっても親切でありがたかったです。  30分以上歩いてホテルに到着したのが、夜の9時すぎでした。ホテルは、 7階建ての古〜い建物で、ビジネスホテルのようでした。「古い=趣がある」 ではなくて「古い=ボロい」というそのままのところでした。エレベータは、 壊れそうだし、部屋も狭くて「おしゃれなパリ」のイメージが全然しません。 フランス人の団体客が良く利用するらしくて、外国人はみかけませんでした。 #日本人は、我々以外にいるわけがない! まあ、1泊ツインが350FF程度ならばしょうがないでしょう。でもホテルのス タッフは、英語を話す人が多くて、その点では快適に過ごせました。 ちなみに我々の部屋は5階でしたが、眺めは目の前のマンションに遮られて いて、いまひとつでした。この日は時差ボケですぐに寝てしまいました。 #このエレベーター、5階を押すと4階に止まるのです。レストランを押す  と、階段出口の閉まった会議室フロアーに閉じこめられます。(笑)

(2)10月10日(木)

 朝6時半に起床。それほど時差も気にならず、良く眠れました。ビュッフェ 形式の朝食を取ってからパリの街に繰り出します。まだサマータイムなので、 日本との時差が7時間です。朝の8時だと、まだ外は暗いです。(そのかわり に夜の7時過ぎまで明るい)今日は、天気が良くないらしく、空はどんよりし ています。それでも、薄手のセーターに上着を着ていれば寒さはしのげます。 (最高気温が18度、最低気温が7度程度の気候です)→天気予報のページ  まずは、ルーブル美術館に向かいます。混んでいると入場するのが大変だと 聞いていましたが、朝9時きっかりにピラミッド前に到着してみると行列は数 m程度で、開館と同時にスムーズに中に入れました。カルト・ミュゼ(3日間) を購入して中に入ります。(140FF) とにかく中は広くて、自分がどこにいるのかをつかむのが大変でした。お目 当てのモナリザ、ナポレオンの戴冠式、ミロのビーナス、サモトラケのニケ、 ハムラビ法典、ルイ15世の王冠・・・などはじっくり時間をかけて見てきま した。どこに何があるのかを把握するのが大変ですが、モナリザなどの有名作 品は、看板の矢印通りに歩いていくとたどり着けます。あとは、美術館のスタ ッフが至る所に座っていますので、場所を聞きながら見学すると効率が良いと 思います。とても親切に教えてくれます。(ただし、英語が通じないスタッフ もいます) また、ところどころにいろいろな言葉で解説の書かれたプレート が置いてあります。部屋の隅に黒い箱がおいてあったらのぞいてみて下さい。 ただし、日本語の解説プレートのない場所もありました。  時間がもったいないのでルーブル内のカフェで昼食を取り、お昼過ぎまでじ っくり見学しましたが、まだまだ見きれないところがたくさん残りました。ノ ートやメモ帳にスケッチをしている人から、キャンバスを立てて本格的に絵を 模写している人まで、たくさんいました。また、小学生らしき団体が先生に引 率されて見学していましたが、小さい時から良い教材が近くにあってうらやま しい気がしました。 ルーブル美術館 ルーブル美術館  午後からは、ルーブル前のチュイルリー公園をコンコルド広場に向かって歩 いていきました。紅葉もボチボチ始まってきていて、とてもきれいな公園でし た。コンコルド広場の周りは車の往来が激しくて落ち着きません。結局、どの 辺りにギロチン台が置かれていたのか、わからず仕舞いでした。  それから、オランジュリー美術館のモネの「睡蓮」を満喫してから、次の目 的地のコンシェルジュリーに向かいます。ところが、メトロのシャトレ駅を降 りた後に道を間違えてしまい、サントゥスタッシュ教会に出てしまいました。 メトロの出口表示は、どの出口がどっち方面なのかわかりにくいので、東京の 地下鉄みたいに**方面はA1出口とかB3出口とか簡単な表記にしてもらえ ると助かるのになあと思いました。この教会は、ステンドグラスもきれいでし た。ちなみに教会前の広場に変なオブジェ?があります。 オランジュリー美術館 オランジュリー美術館  コンシェルジュリーは、昔の牢獄だけあって不気味な雰囲気です。マリー・ アントワネットが閉じこめられていた部屋がロウ人形で再現されています。こ こは、カルト・ミュゼが使えますのでシテ島に来た際にはぜひ立ち寄ってみる ことをお勧めします。ちなみに入口がわかりにくくて、隣の裁判所に入ってし まい、「何か変だな〜」と思いながら裁判所内を歩き回っていました。 #普通は、入口の警備員に止められるはずですから心配はいりません。(笑)    同じシテ島内にあるノートルダム寺院は、現在、補修工事中のため一部にカ バーがかかっていて、外観がいまひとつです。中のステンドグラスは、きれい ですが、工事中の面からは光が入らないので一部分見れないところがあります。 さすがに有名観光地だけあって、周辺は人であふれかえっています。  オペラを鑑賞するお金はありませんが、有名なオペラ座が一目見たいと思い、 オペラ・ガルニエにメトロで向かいます。堂々としたたたずまいは見事でした。 それから、少し離れたマドレーヌ教会まで歩いていきます。この教会は、ギリ シャ神殿のような外観で、教会にしてはとても珍しいと思いました。この教会 のすぐそばのフォーション(Fauchon)でおみやげの紅茶を買いました。 オペラ座 オペラ座  嫁さんの希望で、サン・ジェルマン・デ・プレ教会の周りの布地屋さんを見 に行くことにします。この教会は、パリ最古の教会で重みがあります。ノビリ ス、ピエール・フレイ、マニュエル・カノヴァなどのお店に入りましたが、か わいいお店なのですが、お値段の方も高くて、見ているだけに終わりました。 この辺りは、おしゃれなお店が多くてウインドショッピングをしているだけで も楽しいエリアです。  そろそろ、夕方になりお腹もすいてきたのですが、今日は木曜日なのです! そうです、オルセー美術館が夜9:45まで開館している日なのです。夕食にする か、オルセーを見に行くかを検討した結果、オルセーに決定しました。カフェ 「レ・ドゥー・マゴ」の角のクレープ屋さんでチョコバナナクレープ(20F)を 買って、食べながら歩いてオルセーに向かいました。  オルセー美術館では、ルノワールの「ムーラン・ドゥ・ラ・ギャレット」、 マネの「草上の昼食」、ミレーの「落穂ひろい」、ゴッホの「自画像」、ゴー ギャンの「タヒチの女」などを満喫しました。それにしても、最後の最後に美 術館というのも疲れます。疲れた足を引きずるようにして、根性で見学してい ました。至る所にイスがあるのには、救われましたが・・・ オルセー美術館 オルセー美術館  オルセーを後にして、ホテルに戻ってきたのが夜の10時近くでした。それ にしても、今日はよく歩いたと思います。まだまだ若いな〜(笑)

(3)10月11日(金)

 今日も朝6時半起床です。メトロの駅まで徒歩20分もかかるので大変です。 本日のメインは、ベルサイユ宮殿の見学です。まずメトロでサン・ミッシェル 駅まで出て、RERのC線に乗り換えます。片道13FFと思っていたよりも安か ったです。切符売り場のお姉ちゃんは、くわえタバコで「ベルサイユは、あっ ちのホームから乗ってね」みたいなことを言ってました・・・。 #自由な職場なこと(笑)  改札を入るとちょうど列車がホームに入ってきたところだったので、近くに いたおばさんに「ベルサイユに行きますか?」と聞いてみると「Oui」と返事が 返ってきたので、お礼を言って急いで飛び乗りました。途中から、地上に出て くると眺めも良くなってきます。25分ほどで、あっという間にベルサイユ・ リヴ・ゴウシュ・シャトウ駅に到着です。(終点の駅なので安心です)  駅を出ると目の前のお城のような豪華ホテルに驚かされます。すぐに外人の カップルから「ベルサイユにはどうやって行くのですか?」と聞かれたけど、 こっちが聞きたいくらいだよ〜と心の中で思いました。でも、道に迷うほどは 遠くないので、心配しなくても大丈夫でした。  朝の9時すぎにベルサイユ宮殿に到着しましたが、既に駐車場には観光バス が何台もとまっていました。とりあえず、Aコース(自由見学コース)入口に 行ってみます。それほど列はできていなくて、すんなりと入れました。日本語 のガイドフォンを1台借りて、ボリュームを最大にして2人で聞いていました。 なかなか詳しいガイドが聞けるのでお勧めです。(30FF) ただし、借りる時 にパスポートかクレジットカードを預けるように言われます。宮殿内部の装飾 は、本当に見事で思わず見とれてしまいます。特に「鏡の回廊」と「王妃の寝 室」は見事でした。王妃の寝室はベッドの左側に隠し扉がありますので、注意 して見てみましょう。ガイドフォンを聞きながら見学しているとちょうど1時 間半くらいの所用時間です。順路が決まっていますので、団体さんがくると混 み合います。  館内のショップで、「ベルサイユ宮殿ツアーガイド」という本を買ってきま した。(50FF) 写真が豊富できれいな本です。その本を見ていたら、マリー・ アントワネットの居殿という部屋が載っていました。早速、インフォメーショ ンでここを見れるツアーはないかと聞いてみましたが、現在クローズしていて 見れないと言われてしまいました。残念!  ちなみにカルトミュゼが使えるのはAコースのみで、B、Cコースなどのガ イドツアーやトリアノンは使えません。  庭に出てみますと、アポロンの泉に続く緑のじゅうたんの両側の樹木が紅葉 していてとてもきれいでした。また、庭にある三角錐の植木がかわいい形です。  次に、楽しみにしていたプチ・トリアノンに向かいます。宮殿前からトラン が出ていますが、31FFもします。貸し自転車も1時間30FFもするので、20分 かけて歩いていきました。プチ・トリアノンは、マリー・アントワネットが好 んで通っていた場所で、当時の寝室が再現されていて遺品も展示されています。  今日の昼食は、朝食の時にホテルからくすねてきたパンとジャムです。フラ ンスのパンは、おいしいですね! 単なるクロワッサン1つをとってみても濃 厚な味がします。景色がきれいなせいか、パンとジャムだけの食事もおいしく 感じます。  有名な「愛の神殿」から更に庭園を15分程歩いていくと、マリー・アント ワネットが田舎遊びのために庭師に作らせた「村里」があります。12棟のう ち現在でも10棟が残っていて、王妃の家、水車の小屋、酪農の家、釣り場の 塔などノルマンディー風のわらぶき屋根のかわいい家が点在しています。ここ まで来る観光客はほとんどいないので、きれいな庭園をゆっくり散策できて最 高の気分です。ぜひここまで足を延ばしてみることをお勧めします。  バラ色の大理石でできたグラン・トリアノンを通り、歩いて宮殿まで戻りま した。だいぶ歩いて疲れたので、宮殿内のカフェでお茶をしてから午後4時頃 にベルサイユ宮殿を後にしました。(ちなみに、トイレは、2.5FFでした)  RERのベルサイユRG駅で、帰りの列車を待っていると、出発時間になっ ても発車しません。しばらくすると車内放送が入り、乗客が続々と降り始めま す。しばし、何が起こったのかわからずに呆然としていると、英語のアナウン スが流れ始めました。でも、フランス語なまりがきつくて何を言っているのか 良く聞き取れません。どうやらこの列車は動かないので、別の路線に乗り換え るように言っているみたいです。ベルサイユにはRERの他にSNCFの2路 線が乗り入れているためです。(3つの駅はそれぞれが離れている)  ごったがえした改札で「切符はどうなるのか?」と聞いてみると「同じ切符 なので大丈夫だ」というので、半信半疑ながらSNCFのベルサイユ・リヴ・ ドロワット駅へ歩いていきます。最初は、同じ方向に歩いていく人にくっつい て行ったのですが、だんだん分散してきてしまいには、はぐれてしまいました。 焦りながら15分程歩いてベルサイユRD駅に到着しました。駅のエスカレー ターを上がっていくと改札もなく、いきなりホームに出てしまいビックリしま した。とりあえず終点のサン・ラザール駅まで行くことにします。この路線は、 RERのC線よりも断然、眺めが良くてお勧めです。特に車窓からエッフェル 塔が見えた時は感激しました。(前に座っていたお兄さんが教えてくれた)  サン・ラザール駅は、「世界の車窓から」のような雰囲気で素敵でした。こ こでも改札がなくて、いきなりホームの外に出れてしまいました。駅の中のお 店をブラブラと眺めていたら、駅構内にTGVの展示を発見しました。なんと 操縦席にも自由に入ることができて、思わず記念撮影をしてきてしまいました。    メトロに乗り換えて、先ほど列車の車窓から見えたエッフェル塔へ向かいま す。3階の276mの展望台まで登りました。61FFと少し高いですが、登って みる価値はあります。上からの眺めは、まるでおもちゃの街のように整然とし ていてきれいです。ちょうど夕方だったので、だんだん陽が傾いてきて、夕焼 けから街の灯りがともり出すまでの移り変わりが見れて得した気分です。シャ イヨー宮から振り返って見たエッフェル塔は、ライトアップされていて本当に きれいでした。 エッフェル塔 エッフェル塔  夜の8時をすぎたので、そろそろ夕食を食べに行くことにします。今回、選 んだのはサン・ジェルマン・デ・プレ教会の前のボナハルト通り(R. Bonaparte) の国立美術学校前の「レ・ボザール」(Les Beaux-arts)というお店です。こ こは、何とムニュが75FF(サービス料込み)で食べられます。前菜10品、メ イン18品、デザート8品、飲み物5種類の中から選ぶことができます。頼む と日本語メニューも持ってきてくれますので安心です。特にデザートのフロマ ージュ・ブランが変わっていますので食べてみて下さい。隣のテーブルのアメ リカ人らしき老夫婦が、興味を持ったらしくて「それは何ですか?」と聞いて きました。「ヨーグルトのような味がするチーズです」と教えてあげましたが、 実際に砂糖をかけて食べるのです。こってりとした味です。飲み物でワインを 頼むと1/4Lボトルで出てくるのも嬉しいですね。  ゆっくり1時間もかけて食事をしていたので、ホテルに帰ってきたのが10 時半を回っていました。今日もたくさん歩いたので疲れました。

(4)10月12日(土)

 今日も朝6時半起床で、7時半にはホテルを出ていました。いよいよ今日が パリに丸1日いられる実質的な最終日です。早めにホテルを出たのは、のみの 市に行くためです。クリニャンクールは、観光地化されてきていると聞いたの で、ヴァンヴ(Vanves)に行ってみることにしました。8時半頃から1時間半 程ブラブラと眺めていましたが、私に買えそうなめぼしい物は見つけられませ んでした。骨董市というだけあって、2桁の売値のついている物は少ないです。 たまに30FF均一というコーナーがあったりしても、本当にボロいものばかりで した。(笑) 古い絵はがきを大量に並べているお店が何件かありましたが、 こちらでは、このようなコレクターが多いのでしょうか? でも、見ているだ けでも楽しかったです。  それから、メトロに30分程揺られて、13号線の終点のサン・ドニ・バジ リック駅で降ります。パリ北部に隣接するサン・ドニ(St. Denis)には、12 00年にわたってフランス国王の遺体が納められてきた大聖堂があります。も ちろんマリー・アントワネットのお墓を見にいくのが目的でした。この大聖堂 は、奥行きが108mもあり、シテ島のノートルダム寺院級の大きさをほこる 立派なものです。受付のお姉さんは、英語が通じませんでしたが、どうやら英 語のガイドフォンはあるようです。(もちろん日本語は、パンフレットもない) ここでもカルトミュゼが使えたのには驚きです。内部のステンドグラスも見事 ですが、歴代の国王や王妃たちの横臥像が79体も安置されているのでお墓美 術館のようです。別室にあったルイ16世のマントと王冠は迫力がありました。 マリー・アントワネットのお墓は、地下聖堂に安置されていますが、黒いフタ がされているだけの質素なものでした。 その後、サン・ドニの街をブラブラ歩いて楽しみました。イル・ド・フラン スだけあって寒かったです。サンドイッチ屋さんで、サンドイッチとデザート と飲み物が選べて31FFと格安のセットを買って、大聖堂の向かいにある別の教 会まで歩いていってお昼を食べました。このサンドイッチが、パリパリなんだ けど固くないフランスパンに具がたくさんはさまれていて、とにかくおいしか ったです。デザートは、苺のタルトを選びましたが、これがまたほど良い甘さ かげんでおいしいこと・・・。  ちょうど何かのお祭りがあるらしくて、パレードなどをやっていますたが、 時間の関係で、最後まで見ることができずに後ろ髪を引かれる思いでサン・ド ニを後にしました。郊外の街もパリとは違った面があり良いものですね。  次の目的地は、有名なモンマルトルの丘です。メトロのアンベール駅からサ クレ・クール寺院に向かう坂道にはたくさんの布地屋さんが集まっています。 洋裁の好きな嫁さんは、張り付いて見ていました。TATIの支店もありまし たが、すごい人であふれていました。しかし、あのピンク色の看板はパリの街 では異様な雰囲気ですよね。(でも次回は、本店にも行ってみたい!)  息を切らせつつ登ると、標高130mの丘に建つサクレ・クール寺院です。 パリの街並みがきれいに見わたせます。だいぶ足に来ていたので、ドームには 登らないで、天井の絵を見ながら内部ですごしていました。  すぐ近くのテルトル広場にも行ってみましたが、すぐに似顔絵描きの人たち が声をかけてきます。(相場は、100〜150FFのようです) 広場で書いている 絵描きたちの絵でも買って帰ろうと思いましたが、いいと思ったものはやっぱ り良いお値段がしていました。写真くらいの大きさの小さい油絵なら200〜300 FFでも手に入ります。それにしても、この狭い広場にたくさんの人があふれか えっていてすごかったです。 サクレ・クール寺院 サクレ・クール寺院  次に、嫁さんのリクエストによりマレ地区の散策にでかけます。メトロのサ ン・セバスチャン・フロワサール駅で降りてピカソ美術家を目指します。ここ は、ちょっと道がわかりにくかったです。途中で、お巡りさんに聞いたのに迷 ってしまいました。でも、街並みがきれいですので、ぶらぶら歩いているだけ でも良いかもしれません。  ピカソ美術館は、年代順に見やすく展示されていますので、作風が変化して いく様子がわかりやすく鑑賞できました。  次に、すぐ近くのカルナヴァレ美術館に向かいます。メトロの駅には、この 美術館の宣伝ポスターがバンバン張ってありました。ピカソ美術館同様にカル トミュゼが使えます。ここは、ルイ14世〜16世時代の貴族の部屋の再現や 豪華な家具が見事でした。  美術館の警備のおじさんにサン・ポール駅の行き方を聞いて、メトロの駅に 向かいます。途中にあった、サン・ポール・サン・ルイ教会に入ってみました。 パリで2番目に古いイエズス会の教会とのことで歴史を感じさせるつくりです。 中に入るとパイプオルガンの演奏(たぶん練習)をしていたので、しばらく聞 き入っていました。思わぬ収穫に、足の疲れもふっとびました。  そういえば、マレ地区で切手を買いましたので、その話を書きます。だいた い有名な観光地では、絵はがき1枚が1FFで売っています。私も友人に絵はが きでも書こうと思い何枚か買いました。泊まっていたホテルで出そうとしたら、 フロントでは切手は売っていないと言われました。売っているお店を聞いたら 開店が朝の8時半というので、書き終えた絵はがきを持って街に出てきました。 切手は、タバコ屋でも売っているというので、「TABAC」と赤い看板を掲 げているカフェに入ってみました。すると、お店の1角にタバコ売場があるで はないですか! 「日本にエアメールを出したい」というと「いくらの切手が 欲しいのか?」と聞かれました。「知らない・・・」というと、おじさんは何 やら冊子を取り出して値段を調べてくれました。(ちなみに5.2FFでした)  本日、最後の目的地は「凱旋門」です。ここも、カットミュゼで頂上まで登 ることができます。だいぶ足が疲れていたので、階段ではなくてエレベーター で登ることにしました。しかし、このエレベーターが10人くらいしか乗れな いので、15分くらいも列に並んでいました。頂上からの眺めは、エッフェル 塔とは違った良さがあります。特に、凱旋門から放射状に延びる道路はすごい です。また、シャンジェリゼ大通りの人混みも上から良く見渡せます。また、 チュイルリー公園のカルーゼル凱旋門やラ・デファンスの新凱旋門も見ること ができます。下りは、エレベーターを使用できないので、272段のラセン階 段を目が回りながら降りていきます。ちょうど、無名戦士の墓の前でパレード 隊が演奏をしていました。 凱旋門 凱旋門  その後に、シャンジェリゼ大通りをブラブラと歩いていましたが、日も暮れ てくるとお店もだんだんしまってくるので、結局ブランド物のブティックには 入れませんでした。代わりに?夜遅くまで営業している「プリズニック」を見 てから夕食を食べに行きます。夕食は、昨日の「レ・ボザール」がすっかり気 にいってしまいましたので、またまた75FFのムニュを食べに行きました。  今日も、ホテルに帰ってきたのが夜10時すぎです。毎日、たくさん歩いて いるので足が痛いです。でも、少ない滞在時間を有効に活用してパリを満喫す ることができました。いよいよ、明日の午後には、パリを出発します。

(5)10月13日(日)

 パリを発つのはお昼の飛行機なので、今日はゆっくり寝ていることにしまし た。さすがに、毎日6時半起きの夜10時帰りでは、体が持ちません。(笑) ホテルの隣に大型スーパーがあったのですが、営業時間が朝8時半から夜8時 半なので、開いている時間にお店に入ることができませんでした。そこで、今 日はスーパーでブラブラして過ごそうと思っていたら、なんと日曜日なので閉 まっていました。すっかり曜日感覚をなくしていました。そこで、かわりにホ テルの周りを散歩しながらゆっくり過ごしました。明るいときにホテルの周り を歩くのは、帰る日の今日が初めてというのもすごいですよね・・・  のんびりと朝食を食べて、9時半にホテルを出ます。時間もたっぷりあるの で、タクシーを使わずにRERのB線のStation La Courneuve Auberivilliers 駅までのんびりと歩いていくことにします。このホテルは、メトロの駅まで徒 歩20分、RERの駅まで徒歩30分というところです。ホテルからのFAX では、RERまで徒歩15分と書いてあったけど(スーツケースを押しながら だったけど)どうみても30分近くはかかる距離でした。空港までは、38.5FF と北駅から乗るよりもちょっと安くなっていました。空港行きの列車の本数は、 20〜30分に1本なので時刻表がない場合には余裕を持って駅に行く方が良 いと思います。午前11時前にCDG2に着きましたが、サベナのチェックイ ンカウンターがわからずに、思わずインフォメーションで聞いてしまいました。  現金が、280FF程あまったので、文句も言わずに「歩く旅」につきあってく れた嫁さんの買い物に全て寄付しました。(笑) 私は、小銭をかき集めた15 FFでエッフェル塔の絵の書かれた「いかにもおみやげ用」というグラスを1個 買いました。(50サンチームを残して全て使い切りました!)  ブリュッセル行きの便は、ほぼ満席でしたが、窓際をリクエストしていたの で外の眺めを楽しむことができました。特に、雲が全くなくてブリュッセルに 着くまで、ずっと地上を見ることができました。ベルギーの家並みもかわいい ですね!   ブリュッセルでの乗り継ぎ時間は、1時間でしたがトラブルもなく無事に成 田行きに乗り継ぐことができました。機内は満員状態で、禁煙席をリクエスト していましたが、喫煙席との境しか席が残っていなくて煙い思いをしながら帰 ってきました。成田着は、翌日14日(月)の午前9時でした。お昼すぎに自 宅に着いてみると、水道工事でマンションの水が断水していたのです。ガーン! とんだ落ちのついた旅行でした!    最後に、パリの街の雑感です。犬の糞が多いと聞いていましたが、それほど 気にはなりませんでした。(まあ、東京の街中に比べれば多いですが・・・) でも、犬を連れて散歩している人は、多いですね。メトロにも乗ってきちゃう し、犬を連れたままお店の中を歩いています。食事をしているときに、お店の 中に連れてきてつないでおく人もいました。吠える犬がいないので、おりこう さんが多いのかなあとも思いますが・・・  一番、感心したのは、サン・ジェルマン・デ・プレ教会の前でバスを待って いたおばさんが連れていた犬です。その犬は、放したまま連れ歩いていたので、 少し離れたカフェの方まで、ウロウロしていました。そのうちにバスがきてし まったのです。おばさんは、バスに乗ろうとして、自分が連れていた犬がそば いないのに気づきました。そこで、大声で犬の名前を2〜3回叫んだのです。 すると、遠くでブラブラしていた犬が、一目散にバスの方に走ってきて、入口 から飛び乗ったのです。その後すぐに、バスのドアが閉まって走り出しました。 なんだか、映画の1シーンを見ているような気分になりました。 #犬のふんよりも路上駐車が多い気がしましたが・・・  初めてのパリでしたが、3日間本当に良く歩き回って、充分に満喫すること ができました。次回は、もっとゆっくり時間をかけてのんびりしたいと思いま す。そうそう、日本に帰ってきてからもしばらく歩き過ぎで足が痛かったです。 むかし(大学生の頃)に歩いて日本を横断したというのに・・・今ではすいぶ んと体がなまってしまったのを痛感しました。 #このプランは、一般の人にはあまり向いていないかもしれませんね(笑) 最後まで、長文につきあって頂きましてありがとうございました。

<番外編/メトロについて>

 今回の旅行では、ほとんどメトロで移動していました。1枚の切符でパリの 中なら自由に乗り継いでいけるのが便利でした。1〜2駅くらいの距離ならば 歩くようにはしていましたが、それでも3日間で2人で34枚も使いました。 気をつけないと、ポケット中、使用済みの切符だらけになってしまいます。  乗換駅では、次に乗るのが何号線で、乗る方面の終点駅の名前さえ覚えてい れば、あとは駅構内の看板にしたがって歩いていけば良いので何も心配はいり ませんでした。駅名が長くて覚えきれないと言う意見もありますが・・・(笑) 中には乗り換えに延々と歩くこともありました。一番長かったには、4号線か ら13号線に乗り継いだ時のモンパルナス・ビアンヴニュ駅でした。東京駅の 京葉線ホームに行くときのように歩く歩道までありました。 #乗り換えの時に階段を上ったり下ったりと結構いい運動になります(笑) メトロ  でも、電車はすぐに来るので、待ち時間が少なくて快適でした。駅名もホー ムに大きく書いてあるので、乗り過ごすこともなかったし・・・。ドアの開閉 は、レバー式とボタン式が、半々くらいでした。完全にとまる前に開くのがお もしろくて率先してドアを開けていました。朝の通勤以外は、だいたい折り畳 み式のイスの方には座れました。でも、あの立ち上がったときのバタンという 音はうるさいですね。  夜の10時頃までメトロに乗っていましたが、危険を感じたことはありませ んでした。結構、女の人も乗っているし・・・。観光客ではないふりをしてあ まりキョロキョロせずに平然と乗っていればそんなにシビアになる必要もない のではないかと思います。  ポケットに財布を入れておかなかったためか、スリにも会いませんでした。  車内で、出会ったおもしろい人々は、みなさんがおっしゃっていたように、 ギターひき、アコーデオンひきが一番多くて、バイオリン、太鼓、ビワ?のよ うなものをひいている人もいました。ギターだけならいいですが、声を出して 電車の中で歌うなよな〜という人もいました。あと、アンプ付きはいただけま せん。生ギターにしてほしいですね。隣の車両から音が聞こえてくると、「おっ、 来た来た」と思っていました。車内で演説をする人には、1人しか出会いませ んでした。それにしても、こちらの人はすぐにチップをあげるのですね。見て いてこれは、商売になるなあと感心してしまいました。あとは、犬を連れて電 車に乗って来てしまう人も多くて驚きました。日本みたいに、カゴに入れてい るのではなくて、そのままひもで引いているのです。ローラースケートをはい たまま、駅構内を疾走している少年もいたけど、危ないぞ!!  #ホームに全然駅員がいないので、何でもアリなんでしょう(苦笑)


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