日本横断旅行記



始めに・・・

なぜ、歩いて日本横断をしようかと思ったかと言うと、ある日雑誌で歩いて オーストラリアのナラボー平原を横断した人の手記を読んでからです。凄い なあ〜と思い、自分もやってみたくなりました。なぜここで日本横断なのか と言っても特に理由はありません。たまたま頭に浮かんだのが太平洋から日 本海へのコースでした。この時は確か、春休みのバイト帰りの電車の中でし たから、このプランは4月から始まったことになります。まず、漠然と日本 横断と言ってもどこを歩くか決めなくてはなりません。早速、地図帳を開い て検討してみます。ちょうどうまいことにフォッサマグナをたどっていくと 山岳部を避けることができることがわかりコースが決まりました。次に資料 集めです。市立図書館へ行ってユースホステルの本と自転車で日本を一周し た人の本を借りてきました。あいにく徒歩旅行に関する本はありませんでし た。地図とユースの本を見比べながら宿泊地を決めていきます。ユースがあ る地域はユースに泊まり、ない地域はテントに泊まることにしました。そこ で必要となったキャンプ用品を買いに行きました。同時に荷物を入れて運ぶ ベビーカーの手配も始めます。3ヶ月間かけて必要な装備をそろえていきま した。次に更に詳しい地図が必要です。お勧めは人文社の広域道路地図シリ ーズ(緑色の表紙の本)です。縮尺が5万分の1で主要交差点、バス停の名 前まで載っていて便利です。ちなみに神田の古書街に行くと3年前のなら定 価1800円のが600円で手に入ります。僕は静岡県、山梨県、長野県の 3冊を買ってきました。3冊持っていくと重くて大変なので必要なページだ けコピーして1日ごとのコースに継ぎ足して自分で地図帳を作って持ってい きました。  大学の友人に突然「夏休みに歩いて日本を横断するよ!」と宣言したら、 「絶対、無理だ」「本当にそんなことやるの」と悲観的なリアクションが返 ってきましたが、1人で無事に行ってきました。高校の強歩大会(35Km)も 3年間ペケグループだったし、普段も家でゴロゴロしている自分が突然1日 30Kmを2週間も歩き続けようと考えるなんて今でも不思議です。
<コース> 1988年7月28日(木)〜8月10日(火) 13泊14日 364Km      0)自宅(埼玉県大宮市)−−指扇駅−−吉原駅−−田子の浦(太平洋) 14Km ↓      1)7月28日(木)ふもとの家YH(静岡県富士宮市) 26Km ↓      2)7月29日(金)佐野さん宅(静岡県富士宮市) 30Km ↓      3)7月30日(土)富士西湖YH(山梨県南都留郡足和田村) 35Km ↓      4)7月31日(日)野宿 [釜無川 河川敷](山梨県中巨摩郡若草町) 26Km ↓      5)8月 1日(月)赤岡君宅(山梨県北巨摩郡須玉町) 31Km ↓      6)8月 2日(火)野宿 [神代 バス停](長野県諏訪郡富士見町) 28Km ↓      7)8月 3日(水)スワコYH(長野県諏訪郡下諏訪町) 28Km ↓      8)8月 4日(木)野宿 [奈良井川 河川敷](長野県松本市) 17Km ↓      9)8月 5日(金)浅間温泉YH(長野県松本市) 25Km ↓     10)8月 6日(土)あづみ野YH(長野県南安曇郡穂高町) 31Km ↓      11)8月 7日(日)木崎湖YH(長野県大町市) 30Km ↓      12)8月 8日(日)野宿 [JR大糸線千国駅ベンチ](長野県北安曇郡小谷村) 42Km ↓      13)8月 9日(月)野宿 [日本海の砂浜](新潟県糸魚川市)  1Km ↓      14)8月10日(火)砂浜−−糸魚川駅−−指扇駅−−自宅(埼玉県大宮市)     
    

1)7月28日(木) <1日目> 雨 <歩行距離:14Km>

自宅−−指扇駅−−吉原駅−−田子の浦(太平洋)−−ふもとの家YH AM6:00 どんよりした天気の中、自宅を出発する。AM6:18の川越線に乗り込 む。AM10:15東海道本線吉原駅に到着する。駅を降りてみると、なんと雨であ る。仕方がないので傘をさしつつ荷物を積んだベビーカーを押して海の方へ 歩いていく。ベビーカーが小型のため今にも壊れそうだ。荷物が20Kgも あるので全行程に耐えられるか不安になってくる。重さのため車輪がハの字 になってしまい、押してもまっすぐに進まない。ベビーカーを地面におしつ けるように押さないとうまく直進しない。これは困った。でも仕方がないの でなんとかガマンすることにする。  海に出てみてびっくり、海岸はテトラポッドで埋まっていた。砂浜を想像 していただけにショックでした。ギリギリまで海に近づき、ここが出発点だ と気合いを入れる。海のそばの砂山公園というきれいなところで雨宿りする ことにする。晴れていれば最高なのになあと思う。ちょうどゲートボール小 屋があったのでその中で雨をしのぎつつ昼食のおにぎりを食べる。  AM12:00鈴川郵便局着。これから行く先々にある郵便局で100円づつ旅行 貯金をしていくことにする。その第1号である。ついでにハガキを2枚買う。  傘をさしながら歩くというのはとても疲れる。初日のため、ただ歩くのさ え大変なのにこの雨でかなりしんどい。かなり小刻みに休憩を入れつつ歩く。 休むたびに、それほど進んでいないというのに地図で位置確認をしていた。 たった14Kmなのにこのざまじゃ先が思いやられる。  PM3:15 本日の宿「ふもとの家YH」に着く。夕食は付かないので近くの お店まで食べに行く。「千貫食い処」にて肉入りお好み焼き350円を食べ る。この辺は、食堂が無いので不便だ。でも量は多いのでお腹がいっぱいに なる。PM6:30 お風呂に入る。普段はほとんど歩いていないのでだった14 Km歩いただけで、足の付け根が筋が痛くなっている。あと、足の爪が圧迫 されたように痛い。お風呂上がりにコーヒーをいただきながら、ペアレント さんにいろいろとこの辺のお話を伺う。子猫を飼っていて、イスに座ってい るとすぐに膝の上に飛び乗ってきて寝てしまう、かわいい猫だ。PM8:00 ベ ッドルーム(ミーティングルームと別の建物)へ行く。今日の泊まりは、豊 田市から来た、阿部さんと2人きりだ。彼は、GPX250で旅をしていてこれか ら東北の方へ向かうとのことだった。 <YH情報>  ふもとの家YHは、定員が8人と少ないため非常にアットホームなところ でした。ベッドルームは、別の建物ですがちょっと暗い感じがしました。で かい2段ベッドがあり、男部屋だけでも8人は泊まれそうでした。外人の利 用者が多いらしく、この日もスイス人の女の人が来るはずだったのが急に来 れなくなったとのことでした。また、洗濯機と乾燥機が完備されているのは 嬉しいところです。 <DATA> YH代     1950円 夕食代      350円(肉入りお好み焼き) ジュース代    300円(3本) チョコレート   145円 ハガキ       80円(2枚) 旅行貯金     200円 ---------------------------------- 合計      3025円

2)7月29日(金) <2日目> 雨のち曇 <歩行距離:26Km>

ふもとの家YH−−国道139号−−白糸の滝−−陣馬の滝−−佐野さん宅  AM4:00ごろすごい雨音と雷で目が覚める。これはまずい!ここに連泊して 止むのを待つか、それとも強行するか布団の中で考える。  AM7:00 雨もやんでくれてひとまずホッとする。AM7:45 朝食。パンと手 作りジャムとサラダとコーヒー。ペアレントさん手作りの4種類のジャムが おいしかったです。この辺のお茶の栽培の話を聞きながらAM8:30までゆっく り朝食を取る。晴れていれば海まで見下ろせ、伊豆半島まで見えるそうだが あいにくの天気で景色は良くない。  AM9:20 今日は風穴を見に行くという阿部君と別れて出発する。ちょっと 遅い出発となってしまった。歩いているとまた雨が降ってくる。早く梅雨が 明けないかなあと思う。晴れていれば歩きながら富士山が見えるはずなのに 残念だ。  PM2:30 白糸の滝に着く。ついでなので見学して行くことにする。さすが に名所だけあって観光客が多い。さすらいのWALKerからしてみると、こうき ゃぴきゃぴしたところは場違いな感じがする。白糸の滝はすぐ下まで降りら れて目の前で見ることができた。水けぬりが涼しかったです。ただ、足の付 け根の筋が痛くて階段の上り下りが辛かったです。1時間くらい休憩してま た出発することにする。朝霧高原でキャンプをしようと思い国道139号を ひたすら北上する。この道は杉林の中の細い一本道で車もほとんど通らず寂 しい道でした。こんな道を一人で歩いていると心細い。特にずっとゆるやか な登り道だったためかなりバテました。途中、井の頭小学校でキャッチボー ルをしていた先生に頼んで水をもらう。  歩いていたら陣馬の滝という標識があったので寄り道してみる。小さな滝 だが静かで良いところでした。なぜかテレビ朝日の人たちがいました。そろ そろテントを張るところを物色しつつ歩き始める。ちょうど良い空き地があ ったのでそこでキャンプをすることにする。  PM6:00 まず今夜の夕食を作って食べることにする。この日のために新し く買ったガソリンコンロが役に立つ。まず、パック米を暖めてボンカレーを かけて食べる。まだ足りないのでカップラーメンを1つ追加する。作ってい る間、近所の子供達が集まってきてたちまちヒーローになってしまいました。  PM7:00 そろそろテントを張ろうと思い準備し始める。すると広場の空き 地に住んでいる佐野さんがやってきて家に泊まっていけというのでおじゃま することにする。本当に親切な人でありがたかったです。なんでも、ひいお じいさんの代から旅人を泊めてあげたりしているそうです。今度、民宿を始 めるために改装中とのことできれいなおうちでした。  PM9:00 夕食をごちそうになる。おかずをいっぱい用意してくれたので、 お腹がいっぱいで苦しかったけど、ドンブリ1杯をたいらげる。  PM9:45 お風呂に入れてもらう。民宿のお風呂はまだ作っている途中との ことで家のお風呂に入れてもらう。これが、なんと五右衛門風呂で、板を踏 みながら入るお風呂もなかなか良かった。  PM10:30 寝床に入り、用意してくれたマンガを読みつつ寝てしまう。 <DATA> 昼食代      500円(親子丼) ジュース代    400円(4本) チョコレート   145円 旅行貯金     300円 ---------------------------------- 合計      1200円

3)7月30日(土) <3日目> 晴れ <歩行距離:30Km>

佐野さん宅−−富士養鱒場−−朝霧高原−−本栖湖−−富岳風穴−− 鳴沢氷穴−−西湖−−富士西湖YH  AM6:15 起床。AM7:20 朝食。  AM7:00 すぐ裏の富士養鱒場を見学する。入場料200円のところを朝早 いのでフリーパスでした。富士山がきれいに見えてすがすがしい散歩でした。 海抜73mとのこと。  AM7:30 佐野さんにお礼を言って出発する。「人の親切は遠慮してはいけ ないよ」という言葉が印象的でした。富士山を右に見つつ国道139号を歩 いていく。もう梅雨が明けたみたいでとても良い天気だ。向かい風のため少 し歩くのが辛いが、景色が良いので気分も最高だ。朝霧料金所から富士宮有 料道路に入る。何も言われないので料金所はそのまま素通りする。この有料 道路は歩道がないので怖かったです。道もゆるい登りが続きかなり疲れまし た。  AM10:30 本栖橋から本栖湖が見える。あまりにもきれいなのでしばし見と れてしまう。  AM11:00 佐野さんの紹介で本栖湖畔の「レストラン松風」に行ってみる。 旅の話をしたらアイスコーヒーをごちそうしてくれた。本栖湖畔に降りてみ る。湖の青さが気持ちいい。佐野さんにもらったおむすび6個をたいらげる。 あまりに気持ちが良いので湖畔で1時間半ほどくつろぐ。ウインドサーフィ ンをしている人が多かったです。ボートに乗ろうかと思ったら1時間千円と のことなので、高くてやめにしました。  西湖までの道は国道139号ですが、道も細くて歩道がないためトラック とすれ違う時は怖かったです。せっかく来たのだから風穴と氷穴に寄り道を することにする。富岳風穴よりは鳴沢氷穴の方が通路も狭くてアップダウン があっておもしろかったです。とにかく中は寒くてショートパンツとタンク トップ姿では涼しすぎました。氷穴の方は−2度、湿度75%、氷の厚さは 5〜6mとのことでした。  PM4:35 富士西湖YHに到着。土曜日というのに13人くらいしか泊まっ ていないようだ。若者のYH離れが進んでいるのも本当だなあと思った。お 風呂に入ると、日焼けがヒリヒリして痛い。ベッドに入ってからも体中ヒリ ヒリほてっていて眠れない。明日からショートパンツとタンクトップ姿はや めて、Tシャツ、Gパン姿で歩くことにする。夜遅くまで湖畔でバクチクを やっていた人(YHの人ではない)がいたが、迷惑なのでやめてほしかった。 <YH情報>  富士西湖YHは、公営のユースホステルのため会員でなくても泊まれます。 ロケーションは良いYHなのに泊まっている人が少なくて寂しかったです。 ミーティングもなかったし個性がないように映りました。食事もたいしたこ となかったです。外人さんが2人泊まっていました。卓球台が2台あります。 <DATA> YH代     3750円 ジュース代    120円 見学料      360円(風穴、氷穴) 電話代       70円 ---------------------------------- 合計      4300円

4)7月31日(日) <4日目> 晴れ <歩行距離:35Km>

富士西湖YH−−精進湖−−精進湖トンネル(1090m)−−左右口トンネル(1625m) −−甲府盆地−−県立考古博物館−−釜無川河川敷(野宿)  AM6:30 起床。AM7:00 朝食。  AM7:50 体中、日焼けでヒリヒリする。少し頭痛もするようだ。初めて左 足の小指にマメができる。今まではマメができそうなところにはあらかじめ ハンドエイドを張っていたが、とうとうできてしまった。  AM9:00 精進湖到着。釣り客が多く、湖もあまりきれいではないので素通 りする。甲府・精進湖有料道路に入る。ここも料金所はフリーパス。かまわ ずつき進む。ついに精進湖トンネル。全長1090m1012分でくぐりぬ ける。もちろん歩道もないのでトラックが横を通ると壁に張り付いてやりす ごしました。なかには気が付かないらしくて、そのまま横をビュンビュン通 られるのも怖かったです。ちょっと排気ガスくさかったが、外よりも涼しか ったです。  AM10:50 暑さに耐えられなくなって日傘をさすことにする。とにかく暑い! ついに2本目のトンネル、左右口トンネルだ。全長1625m、恐怖の18 分間だった。トンネルは、もうこりごりだ。山越えをしてやっと甲府盆地に 入る。日傘のこうもり傘をさしつつ歩いていると、農家直売のオバちゃんに 呼び止められて冷たい麦茶と桃をごちそうになる。いろいろと旅の話をしつ つ休憩させてもらう。「へぇ〜、すごいねえ〜、あなた出世するよ! でも あんた変わってるね。」と言われてしまった。やっぱりこんなことやろうと 思うなんて変わっているのかなあ? おみやげに桃4つとブドウ1房をもた せてくれた。感謝。  あまりに暑いので、通り道にあった県立考古博物館に入って涼むことにす る。一応、展示を見終わった後は、ソファーに座って1時間ほど休むことに する。その時にもらったパンフレットを見ていたら国道358号と国道20 号は立体交差していてこのまま進むと20号に出れないことがわかる。そこ で急きょコースを変更することにする。コース変更にともない8/1に予約 していた甲府YHをキャンセルすることにした。  PM5:45 JR身延線東花輪駅前で食料の買い出しをする。思っていたより も商店街が大きくて助かりました。夕食用のホカ弁を買い、それから薬局で バンドエイドを補給して、スーパーで明日の朝食のパンを買いました。閉店 前のスーパーというのはその日の売れ残りのパンや弁当が安くなるので狙い 目です。この時も1個100円のパンが、60〜80円になっていて助かり ました。  PM7:00 今日は、釜無川の河原でキャンプすることにする。強風のためテ ント設営には苦労しました。なにせ、テントのポールを持ってきてないため その辺の木にくくりつけて終わりにしている。夕食のホカ弁と今日もらった 桃を1つ食べる。大好物の桃がデザートとは幸せだ。リッチな気分になり寝 ることにする。PM8:30 就寝。 <付録1・旅行貯金のすすめ> 旅の途中にある郵便局で100円ずつ記念に旅行貯金をしていきましたが、 利点もいろいろとあるのです。 1.通帳にその郵便局の印を押してくれるので、コレクションにんあります。 2.ウォータークーラーの冷水が飲めるのが最大の楽しみでした。 3.貯金をするとティシュや仁丹をくれることがある。 4.冷房が効いていて休憩にはもってこいである。(効いていない局もあった) <DATA> 昼食代      500円(ラーメン・ライス) 夕食代      400円(からあげ弁当) 明日の朝食代   305円(パンなど) ジュース代    350円 バンドエイド   305円 見学料      150円(県立考古博物館) 電話代       40円 ---------------------------------- 合計      2150円

5)8月1日(月) <5日目> 晴れ <歩行距離:26Km>

釜無川河川敷−−国道52号−−韮崎郵便局−−国道141号−−赤岡君宅  AM5:30 起床。夏だというのに、早朝はまだ涼しかったです。 朝、起きてみたらテントの内側と外側に水滴がついていて、中にほっぽり出 しておいたものが湿っていたのでザックの中にしまってから寝たほうがよか ったかなと思いました。  AM6:10 朝食。昨日、買ったパンとジュースですませる。テントを畳んで いたら犬の散歩に来たおじさんが通りがかり、旅についての話をいろいろと しました。  AM6:40 出発。途中の消防藤田分団第一部の水道で顔を洗い、水の補給を する。ついでに残りの桃を3つ食べる。うまい!  AM10:00 国道52号を北上し八田村に入ったところで大学の友人の赤岡君 に電話する。「突然だけど、今日泊めてくれない?」「いいよ!」有り難い! 持つべきものは友達だなあと思う。野宿3連泊になるところだっただけに嬉 しかったです。  とにかく暑いので日傘をさしながら歩く。それでも暑くてバテてしまい、 ペースダウンをする。あまりに暑いので日中は歩かないことに決める。韮崎 郵便局で涼みながら友達にハガキを書く。  PM3:45 赤岡君宅着。さっそくシャワーを浴びさせてもらう。赤岡君の実 家は、改装したばかりだそうで、広くてとてもきれいな家でした。赤岡君の 部屋が10畳もあったのには驚きました。スゴイ! 赤岡君のお母さんには いろいろと親切にしていただいて有り難かったです。洗濯までしていただい て本当にお世話になりました。感謝!  PM10:00 寝る。左足の小指と中指と親指の3ヶ所にマメができていた。 <付録2・平均時速>  今回の徒歩旅行では、ほとんどきっちり時速4Kmで歩いていました。正 確に言うと、歩き始めの午前中はペースが早く、日中猛暑になるとペースが ダウンしていたようです。これから徒歩旅行を計画する人は、平均時速を4 〜5Kmに、また1日の歩行距離を30〜40Kmを目安にプランを立てる と無理がないと思います。ちなみに世界で一番足早に歩いている街、大阪で は時速5.76Km(1.6m/s)だそうです。 <DATA> 昼食代      500円(肉丼) ジュース代    100円 ハガキ代      40円 旅行貯金     700円(7局) ---------------------------------- 合計      1340円

6)8月2日(火) <6日目> 曇り時々晴れ <歩行距離:31Km>

赤岡君宅−−国道20号−−国界橋(山梨・長野県境)−−バス停「神代」(野宿)  AM7:45 起床。早朝、台風8号の影響で雨が降っていたが起きるころには やんでいた。  AM9:40 出発。途中まで車で送っていってあげると言われたが、今回は徒 歩旅行なので遠慮することにした。そのかわり国道20号の武川郵便局まで 荷物を運んでもらうことにしました。道がややこしいので赤岡君も一緒に国 道20号まで歩いてくれることになった。ところが、地元の赤岡君が道を間 違えてしまい、武川郵便局まで1時間半のところを5時間も歩いてやっと国 道20号に出ることが出来たというハプニングが起きた。僕は歩きなれてい るのでいいが、赤岡君は大変だったことと思う。昼食を国道添いのドライブ インでとっていると赤岡君のお母さんが預けた荷物を届けに来てくれた。  PM3:37 やっと元のコースに戻り歩き始める。国界橋を過ぎて長野県に入 る。そろそろどこで野宿しようか考えながら歩く。ちょうど良いところにバ ス停の待合い小屋があったのでそこを寝床に決める。この辺のバス停には屋 根つきの立派な小屋がついているので野宿に最適です。ちょうど小雨がパラ ついてきたのでラッキーでした。最終バスの19:01が出た後にバス停を占領し ました。ちなみにバス停の名前は、諏訪バスの「神代」です。バスは、1日 8本しか通っていないところです。バス停のまわりは、すぐそばに川が流れ ているだけで、民家も少なく寂しいところでした。バス停の小屋というのは 雨がしのげて良いのですが、国道20号沿いのためトラックの音がうるさく てなかなか寝つかれませんでした。ティシュで耳栓をしても効果がなく、結 局寝不足になってしまいました。寝ていると、体中が熱を持ってあついので ぬれタオルで拭いてさましました。一時は、風邪をひいて発熱しているのか とあせりましたが、原因は日中暑い中を歩いていたので体内に熱がたまった ものと思われます。  ラジオをつけても何も聞こえない。野宿の時は、何もやることがないので 自然に早寝早起きになってしまいます。  今日、出がけに赤尾君のお母さんからもらった封筒を開けてみると「篠宮 君 これからも一人旅、身体に充分気をつけて旅を続けて下さい。何もでき ませんが少しばかりですがお使い下さい。」と手紙入りで1万円も入ってい ました。感謝!! <付録3・服装について>  7月30日にショートパンツとタンクトップ姿で歩いていて日焼けに懲り て以来、最後までGパンとTシャツ姿で歩いていました。Gパンは、長距離 を歩くのには適していないので、伸び縮みするスウェットかジャージをはく ことをおすすめします。あとは、ボウシは必需品です。とにかく日中は暑く て、日傘をさしていても暑さにやられますので日射病と熱射病には注意が必 要です。私は、汗を拭くための乾いたタオルと身体を冷やすための濡れたタ オルの2本を用意していました。今回は、アスファルトの道を歩くことが多 かったため、地面からの熱にも苦しめられました。履きつぶすすもりで安物 のビニール地の靴を使ったために足が熱を持ち、何度も靴を脱いで休憩しま した。 <DATA> 昼食代      560円(たぬきうどん2人分) ジュース代    400円 ハガキ代     240円 旅行貯金     300円(3局) ---------------------------------- 合計      1500円

7)8月3日(水) <7日目> 曇り <歩行距離:28Km>

バス停「神代」−−諏訪湖−−スワコYH  AM5:15 起床。大武川の冷たい水で顔を洗い、河原でキジを打つ。(トイ レのことです!)  AM6:10 朝食。昨日、赤岡君のお母さんにもらったパンとジュースで素早 くすませる。  AM6:20 出発。もくもくと国道20号を歩いていく。景色も別段良いわけ でもなく、歩いていて退屈でした。途中の富士見駅で水を補給する。命の水 をいかに手に入れるかが、ひとつの問題でもありました。最初は、途中にあ る小中学校で補給する予定でいましたが、夏休み中とのことで元栓が閉めら れていることが多かったので作戦を変更しました。実際には、ガソリンスタ ンドで水をもらうか、駅の水道で補給をしていました。  御射川郵便局で旅行貯金をしたら、仁丹をもらってしまった。今までは、 もらえてもティシュだけだったので驚いてしまった。久しぶりにコンビニエ ンスストアーを発見する。茅野に近づいてきた証拠か? この手の店は旅の 途中にあると大変便利だ。  AM12:20 昼食。茅野駅前のお店でビーフカレーを食べる。はっきり言って まずかった。2人組の外人が近づいてくるので何かと思ったら宗教の勧誘で あった。「うちは仏教ですから・・・と断る。」 駅前のベンチで横になっていたら40分ほど寝てしまっていた。昨日の寝不 足がきいているみたいだ。  PM3:35 諏訪郵便局で自宅と友達に手紙を書く。この郵便局は広くて、机 とイスもありきれいなところでした。  PM5:05 スワコYHに到着。ここは、ユース手前の数百メートルがかなり きつい登り坂になっています。その分、高台にあり諏訪湖の眺めも良いとこ ろです。スワコYHは、江戸時代の古い建物を利用していて、なかなか味の あるところでした。縁側でお茶を飲みつつ仲良くなったみんなとおしゃべり していました。バイクでまわっている人、中山道を歩いている人、周遊券で 廻っている人など・・・この日は全部で30人くらい泊まっていて賑やかで した。ちなみに僕はみんなから「ウォークマン」という愛称で呼ばれていま した。  夕食の提供はないので、近くのお店に食べに行き、その後に湖畔を散歩し てみましたが、思ったよりもきれいではありませんた。水の色が緑色だった のが気持ち悪かったです。  PM9:40 寝る。夜中に同室だった中学1年生の4人組の1人がぜん息をお こして、部屋中大騒ぎでした。幸いなんとかおさまったので良かったですが、 彼らはタクシーであちこち廻っているというリッチな少年達でした。 <YH情報>  スワコYHは、何と言っても落ち着きのある建物に魅力があります。いろ りの周りに鎌ぬんちゃくなど昔のものが飾ってあったりします。また、8月 15日の諏訪湖の花火大会はすごいらしく、このYHからもきれいに眺める ことができるそうです。 <DATA> YH代     2550円 昼食代      500円(ビーフカレー) 夕食代      550円(ミートラーメン) ジュース代    200円 アイス代      50円 旅行貯金     700円(7局) ---------------------------------- 合計      4550円

8)8月4日(木) <8日目> 晴れのち曇り <歩行距離:28Km>

スワコYH−−塩尻峠(1012m)−−岡谷市観光物産館−−奈良井川河川敷(野宿)  AM6:45 起床。AM7:00 朝食。  AM8:05 出発。風が強いようだが、曇りの日は歩きやすい。昨日はよく眠 れたので歩くのも楽である。逆によく眠れなかった日は頭も重く気持ちが悪 くなる。  AM11:20 塩尻峠に着く。峠にある岡谷市観光物産館(入館料無料)を見て から展望台で1時間半ほど休憩をする。諏訪湖の眺めがとてもきれいでした。 峠を越えると後は下りなので楽である。山梨の国道20号に比べて景色も良 くなってきているので、歩いていても気分が良い。途中のセブンイレブンで 夕食のえび天弁当と明日の朝食のパンを買う。  PM5:05 今日は、奈良井川の河川敷でキャンプすることにする。雨と風が 強くなってきたみたいなので、今村橋の真下にテントを張り雨を避けること にする。地面が石だらけでゴツゴツしていてなかなか寝つかれなかった。体 中がかゆくて、かいていたら蚊に刺されたみたいにふくれてしまった。風呂 に入っていないためかと思ったら、原因は毛虫のようでした。(確信なし)  食欲がないので、珍しく夕食を抜くことにする。歩くのにもだいぶ慣れて きたのと、全行程の半分を越えたことから万歩計を気にしなくなっていたよ うだ。 <付録4・野宿について>  今回の旅では、野宿とYHを1日ごとに泊まるプランを立てました。別に 全部が野宿でも良かったのですが、歩く旅はかなり汗をかくので2日に1回 はお風呂に入りたかったためです。それにユースだとご飯の心配もいらない し、何よりも布団の上でゆっくり寝られることが嬉しかったです。また、ユ ースに泊まることにより、情報交換ができたり同世代の友達が出来たりする ことも魅力の1つでした。  野宿には1人用のツェルトを使いました。あいにくツェルトを立てるポー ルを持ってこなかったので設営には苦労しました。片方をベビーカーにくく りつけ、もう片方をその辺の木にくくりつけたりしていました。周りに何も ないところでは、ツェルトの中で傘を開いて立てたりしていました。  ちなみに野宿する場所によって呼び名があります。河川敷→リバーサイド ホテル、公園→グランドホテル、駅のベンチ→ステーションホテルなどなど。 今回の旅で1番良かったのは、シーサイドホテル→浜辺での野宿でした。 <DATA> 昼食代      330円(寿司折り詰め弁当) 夕食代      330円(エビ天弁当) 明日の朝食代   180円(パン) ジュース代    600円 アイス代     100円 チョコレート代   95円 旅行貯金     400円(4局) ---------------------------------- 合計      2035円

9)8月5日(木) <9日目> 曇り時々晴れ <歩行距離:17Km>

奈良井川河川敷−−松本駅−−松本城−−日本民族資料館−−旧開智学校−− 浅間温泉YH  AM6:00 起床。風が強い。奈良井川は、汚いので顔を洗えない。  AM7:00 朝食。昨日の夕食に買った、えび天弁当を食べる。パサパサして いてまずくて半分しか食べられない。   AM8:36 出発。今日は、松本観光のためあまり歩かなくて良いプランにし ておいた。  AM10:55 昨日買ったパンとジュースで朝食の取り直しをする。  PM1:20 松本郵便局に荷物を置き、松本駅前をブラブラする。さすがに大 きな街だ。駅にコンピュータ案内があり、自分の欲しい観光案内の資料をプ リントアウトしてくれるので便利だ。僕は、松本城をはじめとして5〜6枚 プリントアウトしてきました。その後、松本城へ向かう。入場料500円は 高いなあと思いつつもせっかくなので入ってみる。中は結構混んでいて、天 守閣に登るまでに40分もかかりました。でも眺めは良いので登ってみる価 値はあります。その後、日本民族資料館を見学して1時間半ほどで松本城を 後にしました。次に旧開智学校を見学する。こちらの方は200円でした。 モダンな建物はきれいで、展示してある教育資料もおもしろかったです。教 科書の移り変わりは興味深かったし、昔の教室のセットなどはとても良かっ たです。自分が小学校の頃に使っていた教科書が展示されているのを見つけ たりすると感動します。特に中学校の技術科室にあったのと同じ工作台が展 示されていたのには感激しました。あと、大正時代のテニスラケットなども おもしろかったです。   外に出てみると雨が降っていたので、急いで今日泊まるユースに急ぎまし た。信州大学の前を通り、PM5:15に浅間温泉YHに到着する。夕食の提供は ないので、ユースの前の「アルビー」という木調のきれいなお店ですませる。 ユースには20人くらいいたようだが、みんな下に降りてこないで部屋にこ もっているので交流が持てない。なんかつまらなかった。お風呂に入ってみ るとユースの名前に反して温泉ではありませんでした。だまされた! 7月30日に日焼けした背中の皮がむけはじめた。  PM9:00 洗濯機がないので洗面所でパンツと靴下を手で洗濯する。ハリガ ネで2段ベッドの上につるして乾かしながら寝る。 <YH情報>  ここのユースは、あまり評判が良くないらしいですが、僕もあまり好きな 雰囲気ではありませんでした。なんといってもお風呂が温泉じゃないという のには意表をつかれました。また、シャワーが水だけというのも改善して欲 しいです。ユースのまわりには何もないので「アルビー」ができるちょっと 前までは、夕食はユースに出前を取っていたという話を聞きました。ユース 自体の特徴や魅力の乏しいところだと思いました。 <DATA> YH代     2550円 昼食代      400円(ラーメン) 夕食代      650円(焼肉定食) ジュース代    200円 アイス代     100円 見学料      700円(松本城、旧開智学校) 旅行貯金     500円(5局) ---------------------------------- 合計      5100円

10)8月6日(金) <10日目> 晴れ時々曇り <歩行距離:25Km>

浅間温泉YH−−州波神社−−安曇野−−あずみ野YH  AM6:15 起床。AM6:50 朝食。  AM7:46 出発。途中の吉野簡易郵便局でおじさんに旅の話をしたら記念に と、官製ハガキに安曇野の名所が印刷されたハガキセット(5枚組)をプレ ゼントしてくれました。  PM1:00 州波神社の境内の日かげで1時間半ほど昼寝をする。ついでに洗 濯物をつるして乾かす。  PM4:50 あずみ野YHに到着。ユースまでの道はずっと1時間ほど登り道 だったためかなり疲れました。そのためか、駅から歩いてきた人にはジュー スを1本サービスしているとのことでした。疲れてたどり着いた時に冷たい ジュースを出してくれるなんていきなペアレントさんだ。すぐにお風呂に入 り、それから洗濯をする。洗濯1回100円、洗剤は30円でした。  PM6:30 夕食はユースの庭でバーベキューでした。席は、奈良のお兄さん と赤羽のお姉さんと一緒でワイワイやっていました。食後にはデザートが配 られたりとなかなか食事は良かったです。後片づけはみんなでトランプを引 いて決めるもので、ヘルパーさんの引いたトランプよりも大きい数字の人が 当番となります。ちなみに僕はハートのエースでセーフでした。その後、夕 食の時に同じテーブルだった人達と花火をして遊びました。途中で雨が降り だし、雷も鳴り出したので中に入りました。  PM9:00からはティータイムです。紅茶とお菓子のサービスがあり、みんな とおしゃべりしながらくつろぐ。今日は、30人くらいいて、女の子も半分 くらいいました。昨日は、女の子の方が多かったそうです。内装もウッディ なペンション風の建物でとても素敵なユースでした。女の子に人気があるわ けがわかるような気がします。  ティータイムの後は、すっとヘルパーの女の子とおしゃべりをしていまし た。なぜここで働いているのかを聞いてみたら、前々からここには良く来て いたが1年くらい住んでみたいと思ってヘルパーとして雇ってもらったそう です。その時おもしろいパズルがあり、ずっとみんなでやっていました。ヘ ルパーの女の子は8分で解いてしまいましたが、私はとうとうできませんで した。なかなか雰囲気の良いユースですのでお勧めです。  PM10:40 寝る。   <付録5・青春18キップ>  出発点の東海道線吉原駅までと帰りの糸魚川駅からのキップに青春18キ ップを利用しました。そのため交通費が4000円ですみました。青春18 キップは普通、5枚つづりで11000円(1枚2200円相当)で売って いますが、バラ売りはしていないのでディスカウントチケットショップで購 入することをお勧めします。僕は、神田駅前の「大島コイン」で1枚200 0円(1割引)で2枚買ってきました。ちなみにキップの有効期間は7月2 0日から9月10日までです。 注)1988年当時です。現在は値段とシステムが一部変わっています。 <DATA> YH代     3200円 昼食代      390円(天プラうどん、おにぎり) ジュース代    300円 アイス代      50円 洗濯料      130円 旅行貯金     400円(4局) ---------------------------------- 合計      4470円

11)8月7日(土) <11日目> 晴れ時々曇り <歩行距離:31Km>

あずみ野YH−−木崎湖−−木崎湖YH  AM6:45 起床。AM7:30 朝食。  AM8:05 出発。今日は木崎湖まで30Kmくらい歩くのでピッチをあげる ことにする。途中に寄るところもないのでひたすら歩く。最近は歩くことに だいぶ馴れてきて苦にならなくなってきました。こんなに暑くなければ、い くらでも歩いていられるといった感じです。  PM5:05 木崎湖YHに着く。木崎湖は普通の湖という感じのところですが、 ウインドサーフィンをやっている人が結構いました。ユースの場所がわから ずに湖畔をうろうろしていたら、ドシャ降りの雷雨にあい、びしょびしょに なってしまいました。この雨は夜中までずっとドシャ降りのままでした。お 風呂の窓から見た雷はすごかったです。  ここのユースは民宿を改装したらしく畳の部屋でした。今までのユースは、 ずっとベッドだったので畳の部屋は嬉しかったです。今日は14人くらい泊 まっていましたが、自転車野郎が多くて話をしていておもしろかったです。 中でも日本一周中の大学4年生の金子君と仲良くなり住所交換をしたりしま した。その時に「歩きで本州横断とは骨のあるやつ。がんばれよ!」とメッ セージをもらう。ついでに既に行って来た北海道のユース情報をもらう。  PM8:00 ヘルパーさんからこの辺の観光案内がある。お茶を飲みつつずっ とおしゃべりをしていました。糸魚川からやってきた2人組のチャリダー (チャリンコライダーの略)とは道路状況の情報交換をしたりしました。そ れによると糸魚川まではトンネルが多いらしい。今から憂鬱になってしまう。  今日は、久しぶりに楽しい夜だった。   <YH情報>  ここのユースは、お風呂が温泉でした。建物の中が複雑に組み合わさって いて玄関から部屋まで迷ってしまいそうでした。(ちょっとおおげさかな) ユース自体の良さと言うよりも、みんなとのおしゃべりが楽しかったので印 象に残っているユースのひとつです。 <DATA> YH代     3370円 昼食代      300円(ラーメン) パン代      100円 ジュース代    300円 アイス代     150円 電話料      130円 旅行貯金     400円(4局) ---------------------------------- 合計      4350円

12)8月8日(日) <12日目> 晴れ <歩行距離:30Km>

木崎湖YH−−中綱湖−−青木湖−−大糸線千国駅(野宿)  AM6:50 起床。AM7:00 朝食。AM8:23 記念写真を撮ってから出発する。  PM1:35 白馬駅でスコールにあい、やむまで30分ほど雨宿りをする。駅 は登山客でいっぱいでした。途中、洞門を通ったら野宿した形跡があったの で驚きました。いくら歩道があるとはいえトンネルの中で野宿するなんてす ごいやつがいるなあと思いました。  PM3:17 白馬大池駅でまた雨に降られたので雨宿りをすることにする。3 0分ほど待つが、やみそうにないので出発することにする。傘をさしながら 歩くのはとてもしんどいものだ。  PM4:40 千国駅に到着。ちょっと早いが雨も降っていることだし、無人駅 のようなので、今日はここに寝ることにする。  PM7:30 夕食を作る。コンロで缶詰のとり飯を25分暖めて食べる。まず いが、他に食べる物がないので仕方ない。駅舎に有線放送が入っていて自動 的にNHK7時のニュースや町内のお知らせが聞けてラッキーでした。ちな みにラジオの入感はありませんでした。  PM9:00 ベンチに寝ることにする。ベンチの幅が狭くて20cmくらいし かないため、寝返りがうてずに苦しかったです。そのため思っていたほどは、 よく眠れませんでした。  PM10:37 終電が出た後、自動的に電気が消えていました。 <付録6・自炊について>  半分が野宿であるため、自炊の用意をしていきました。この日のためにガ ソリンコンロを買ったわけですが、実際には3回しか使いませんでした。お 米やカップラーメン、パック米、缶詰なども持っていったのにほとんど使い ませんでした。最初に予想していたよりも飲食店が多くて、ほとんどの食事 を大衆食堂ですませていました。食べ物の心配をしていろいろ持っていった のが逆に荷物になってしまいました。最近はどこでもコンビニエンスストア があるので困ることはないようです。 <DATA> 昼食代      500円(親子丼) ジュース代    200円 旅行貯金     200円(2局) ---------------------------------- 合計       900円

13)8月9日(月) <13日目> 晴れのち曇り <歩行距離:42Km>

大糸線千国駅−−糸魚川(日本海の砂浜)  AM6:00 起床。AM6:30 朝食。インスタント焼きそばとインスタントコー ヒーですませる。駅の湧き水にゴミが混じっているのに気がついたがかまわ ずに飲む。  PM7:10 出発。途中のガソリンスタンドで水をもらう。話に聞いたとおり トンネルと洞門の多い道でした。洞門とはトンネルの片側が開いている半ト ンネルのことです。雪よけのために作られたもので長いものは何Kmも続き、 1時間以上もえんえんと歩くこともありました。外を歩く時間よりもトンネ ルの中を歩く時間の方が多くて気分的にも滅入ってきてしまいました。トラ ックは怖いし、排気ガスは臭いしたいへんでした。特にこの辺のトンネルは 真っ暗で前が見えないところがあり、ヘッドランプが役に立ちました。  PM5:35 突然視界が開けて海が見えた。やった〜! 思わず身体が震えた!  PM5:45 日本海に到着。長かった旅もこの瞬間に終わりを告げた。ここも テトラポッドで海岸に降りられないので、もう少し先まで歩いていくことに する。  PM7:05 砂浜を発見、下まで降りてみる。海側の半分がジャリで、残り半 分が砂浜でした。しばらく海辺に座りながらボ〜と海を眺めていたが、今夜 は星を見つつ波音をBGMにして寝ることにする。  PM9:00に寝るが、PM11:00頃にもやがかかってきてシュラフが湿っぽくなっ てくる。テントを張れば良かったかなあと思うが後の祭り。 <付録7・持ち物リスト> 1.ウエストバック(貴重品入れ)   YH会員証、学生証、免許証、青春18キップ、保険証の写し、郵便通   帳、印鑑、名刺、メモ帳、ボールペン、地図、住所録、ハンドエイド、   ティシュ、ライター、メガネ、アメ、万歩計 2.セカンドバック(ザック内に収納)   赤チン、ウナコーワ、風邪薬、せいろがん、耳かき、爪切り、ティシュ、   マッチ、クシ、YHの予約ハガキ、コンパス、カッター、針金、ペンラ   イト、ヒゲソリ、フォーク、アーミーナイフ、ローソク、裁縫セット    3.洗面バッグ(ザック内に収納)   石鹸、シャンプー、ハブラシ、歯磨き粉、乾電池    4.ザック(ICIパタゴニア55L)<総重量20Kg>   セカンドバック、洗面バッグ、ツエルト、グランドシート、寝袋、フラ   イシート、ボウシ、ヘッドランプ、ガソリンコンロ(コールマン スポ   ーツスター2)、ホワイトガソリン1L、1.5リットルポリタンク、   コッヘル、箸、ラジオ、蚊取り線香、カサ、Tシャツ3枚、靴下4足、   パンツ5枚、タンクトップ2枚、ショートパンツ2枚、半袖シャツ2枚、   長袖シャツ1枚、タオル5枚、ビニール袋多数、レインコート、ウイン   ドブレーカー、ビニール風呂敷3枚、カップラーメン3個、カップ焼き   そば1個、パック米2個、ボンカレー、お米、缶詰ご飯2缶、インスタ   ントコーヒー4杯分    5.ベビーカー(ザックを乗せて押して歩いた) <DATA> 昼食代      550円(親子丼) 夕食代      450円(親子丼) 明日の朝食代   178円(パン) ジュース代    648円 旅行貯金     300円(3局) ---------------------------------- 合計      2126円

14)8月10日(火) <14日目> 曇りのち雨 <歩行距離:1Km>

糸魚川(日本海の砂浜)−−糸魚川駅−−指扇駅−−自宅  AM3:00 小雨が降り出す。顔にあたった雨で目を覚ます。しばらくすると やんだので、そのまままた寝る。  AM4:30 また小雨が降り出す。今度は、傘で顔だけ濡れないようにしてま た寝る。  AM5:45 起床。雨はやんでいるようだ。  AM6:30 朝食。昨日買ったパンとジュースですませる。  AM7:00 記念に浜辺の石を1つ拾ってから出発する。曇っているのに蒸し 暑い天気だ。糸魚川駅でお世話になった佐野さんに手紙を書く。  AM8:44 直江津駅行きの普通列車に乗る。  PM1:10 軽井沢駅に到着。乗り換えで1時間半も時間があるので途中下車 する。あいにくの雨と霧で寒いくらいだ。それにしてもすごい人だ。駅前を ひとまわりしてから友達に手紙を書く。  PM6:00 無事に自宅にたどりつく。 <DATA> 昼食代      300円 お菓子代     300円 ジュース代    200円 ハガキ・ミニレター 90円 旅行貯金     100円(1局) ---------------------------------- 合計       990円 <付録8・総費用>  最初は、交通費を抜いて3万円以内に収めるつもりでいました。実際には 4千円ほどオーバーしてしまいました。予想外の出費にジュース代がありま す。猛暑の中を歩いているとついつい冷たい飲み物が欲しくなり、1日に3 〜4本は飲んでいました。水筒のぬるい水では疲れが癒えないのです。ジュ ースは、アクエリアスレモンを愛用していました。  食事は、1食平均420円でした。もっぱらラーメンか親子丼でした。全 部自炊にすればもっと安上がりの旅になったことでしょう。でも、大衆食堂 であれ、ご飯の時間は楽しみのひとつでもあったのです。  うまくやればたった3万円で2週間も旅行ができるということです。お金 がなければないなりの楽しみ方があるはずです。みなさんもぜひ貧乏旅行に チャレンジして見て下さい! <総費用DATA> YH代(宿泊費) 17370円(6泊分) 食費        8823円(21食分) ジュース代     4318円 お菓子代       540円 アイス代       450円 交通費       4000円(青春18キップ2枚分) 見学料       1210円 その他       1410円(ハガキ、電話代など) ------------------------------------------------------- 合計       38131円 (参考:旅行貯金  4100円)

終わりに・・・

 始めの3日間は、最後まで歩き通せるか不安でしたが、やってみれば何と かなるものです。歩き始めの3日間はかなり辛かったですが、1週間もする と体の方が馴れてきてだんだん自然に歩けるようになってきます。普段ほと んど歩かない生活をしている自分が良くこれだけ歩き通せたと、少し自信が つきました。つまり日本全国(離島を除く)ならどこではぐれても歩いてい ればいつかは家にたどりつけるという自信がわきました。自分の足が1つの 交通機関になりえることをあらためて確認できたわけです。  歩いていて良く聞かれたことは「なぜ、歩いて旅をしているのか?」と「 親は何と言ったか?(心配していないか)」という質問でした。なぜ歩いて と言われても、歩くことが旅の原点だと思うし、歩く旅にロマンを感じたか らチャレンジしてみました。  徒歩旅行の最大の利点は人とのふれあいが多いということだと思います。 途中、いろいろな人に親切にしていただいたり、友達ができたりしました。 また、自分の足で歩いたという旅に対する満足感が大きいと思います。逆に 欠点というと、1日の行動半径が狭いことと旅の日程が長くなることがあげ られます。時間に限りがあるのでちょっと(3〜5Km)離れた名所を見に 行けないということがありました。  日本横断の次はオーストラリアかい?と聞かれたりしましたが、僕自身は 「歩くこと」が好きというより「旅」が好きで、今回はたまたま徒歩旅行に なったにすぎません。今度は自転車を使って旅をしてみたいと思ったりもし ています。  今回、この手記を読んでくれた人で自分でも徒歩旅行をしてみたいと思っ た人はぜひチャレンジしてみて下さい。僕で良かったら相談に乗りますから。  最後に、見ず知らずの僕を泊めてくれた佐野さん、突然おじゃましたのに 快く泊めてくれた赤尾君の家族のみなさん、アイスコーヒーをご馳走してく れた「レストラン松風」のおばさん、桃とブドウを持たせてくれた農家直売 のおばさん、安曇野の絵葉書を記念にとくれた郵便局のおじさん、その他親 切にしていただいたみなさん、本当にありがとう! 1988年10月1日 発行


この旅行記の感想や質問がありましたら、お気軽にメールを下さい!

また、この旅行記は小冊子になっていますので、ご希望の方はお申し出下さい。



日本の旅・世界の旅